医師が警告「便秘の人」が大腸がんに注意すべき訳 大腸がん予防には腹直筋を鍛えるべき理由

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しかしこの一番下の腹直筋が腹圧をかける上では重要です。いわゆる「ぽっこりおなか」の人はこの腹直筋下部の筋肉と腹横筋が極端に弱くなっているため、おなかの形状を維持することができません。そこに内臓脂肪や皮下脂肪がたっぷりつくとなおさらだらしなく緩んだおなかになってしまいます。排便のためにしっかりと腹圧をかけるには腹部の筋肉を鍛えることが重要です。

「姿勢が悪い人」は便秘になる

外来に便秘で来院する人で姿勢が良い人を見たことがありません。背中全体が丸く頭が前方に飛び出した姿勢、もしくは極端な反り腰の姿勢の人は腸がうまく動きません。それは脳から連続する神経にダメージがあるためです。

背骨(脊椎)は体全体を支える柱の役割を果たします。首から腰まで合計24個の骨が縦にS字状に積み上がる形で作られる背骨の中を貫くように脳とつながる脊髄という神経が存在します。脊髄から心臓、肺、腸、肝臓、腎臓など各臓器に神経が伸びており、脳の指令を伝達します。主に腸の動きは腰の神経(腰椎交感神経)と脳から直接腸まで伸びてくる迷走神経(副交感神経)の2つのバランスでコントロールされています。肛門近くの直腸は腰の骨よりさらに臀部側の仙椎から出る神経の支配も受けます。

脊髄が通過する背骨の空間は24個の骨がきれいなS字を描いているときにもっともスペースが広くなります。頸の骨は前方に軽く沿った形で存在しますが、その反りがなくなってまっすぐになってしまうと神経は強く圧迫を受けてしまいます。正しい姿勢を継続しなければ、背骨に負担がかかり炎症を起こします。

炎症が起きることにより背骨同士をつなぐ靭帯が固くなっていくと脊髄の通り道がさらに狭くなっていきます。腰の骨の並びが乱れると腸に行く神経もダメージを受けます。結果腸の動きのバランスが崩れてしまいます。腰痛の人はしばしば便秘も併せ持つことが多いです。脊髄は頸から腰、臀部まで連続しているため頸の脊髄が圧迫を受けるとそれより下の神経はすべてダメージを受けてしまいます。現在スマートフォン、パソコンをのぞき込む姿勢で極端に頸が前に出ている姿勢の人を多く見かけます。こういった人の頸の骨のレントゲンを撮るとアーチが消失してまっすぐになっています(ストレートネック)。

頸の骨がまっすぐになるとバランスをとろうとして腰の骨もまっすぐになってしまい、結果腸に至る神経の指令が伝わりにくくなります。姿勢が悪い人は便秘が解消しにくいという事実をまず理解すること。そして便秘解消のためには、頭が前に出すぎないような姿勢を心がけ、腰周りの体幹を安定させるようなトレーニングを行い姿勢を保つ必要があります。

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