医師が警告「便秘の人」が大腸がんに注意すべき訳 大腸がん予防には腹直筋を鍛えるべき理由

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大腸がんは腸の内腔の粘膜から発生しますが、がんが進行するにつれて大腸の内腔に突き出すようになり、次第に便が通りにくくなってきます。便ががんに引っかかるようになると、腸は無理して通そうと過剰に動いたりするためおなかが痛くなったり、逆に固形の便を通すと症状が強くなるためわざと水分を吸収しないようにして下痢便を通すようになります。

さらに進行してしまうと完全に腸が詰まる状態(腸閉塞)になり、緊急の処置(手術など)をしなければ命に関わる状態となってしまいます。大腸がんは、このような症状が出た段階ではかなり進行していると考えて間違いありません。

大腸がんは「便秘」の人に多い

疫学的データを見ると、実は便秘と大腸がんのリスクにははっきりとした相関は認められていません。ですが、大腸粘膜と便中の発がん物質との接触時間が長くなる「便秘」の状態によって、ポリープやがんを発生させるリスクが高くなることは間違いありません。

原則、男性なら1.5日、女性なら2日以内に食べた食事から作られた便が出なければ便秘です。ところが、数日に1回の排便でも自分は便秘ではないと思っている人は、便秘ではないと答えてしまいます。そのため便秘と大腸がんの関連を調査することは難しいのです。

しかし、大腸がんの手術を多数行った経験から、「大腸がんの人が便秘の人に多い」ことは間違いありません。大腸の術後は通常3日から7日で食事を再開します。そして大部分の人が術後に下剤を必要とします。おなかの傷があるので力強く腹圧をかけられないからです。

おなかの傷が癒えたあとでも、下剤がないと排便がうまくいかない人が80%以上を占めます。もともと腸を動かす力が弱いため下剤がないとうまく排便できないのです。術後の後遺症とも考えられている便秘ですが、もともと便秘傾向であるために術後に生涯にわたって下剤を必要とする人も珍しくありません。便秘を解消することは、大腸がんのリスクを下げる最も取り組むべき課題であると僕が考える理由です。

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