医師が警告「便秘の人」が大腸がんに注意すべき訳 大腸がん予防には腹直筋を鍛えるべき理由

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成人女性の約40%が便秘であると自覚しています。便秘になる要因は複数あります。もともと腸の動きが弱いなど遺伝的な素因を持っていることは大きな要素です。

それ以外にも帝王切開などで普通分娩で生まれてこなかった人や、母乳を与えられる期間が短く正常な腸内細菌が形成されなかった人は、腸内環境が乱れやすい特性を示しやすく、便秘などの排便トラブルを引き起こしやすいでしょう。それらの生まれつきや、幼少期の要素以外にも、多くの要因が便秘を引き起こし、そして悪化させています。

便秘を改善するための対策としては、当然ですが普段の食事で何を食べているかは最も重要であることは間違いありません。野菜果物の摂取が少なく食物繊維が不足していたり、コンビニ食や市販のおかし、冷凍食品などの添加物、保存料のたくさん入った加工食品ばかりを食べている人は、腸内環境が乱れやすく便秘になりがちです。

同じくストレスが多い生活や睡眠が慢性的に不足している人も、腸内環境は乱れやすく便秘になりやすいと言えます。また40代以降では甲状腺機能が低下してくるため、さらに腸の動きが悪くなり便秘が悪化しやすくなってきます。

さらに便秘解消のためにあまり意識されていないことがあります。それは「おなかの筋力と姿勢」です。

「ぽっこりおなか」では腹圧がかからない

排便の際には様々な筋肉が協調して働き、便を腸の中から押し出します。普段は肛門近くの直腸を包み込むように存在している恥骨直腸筋という筋肉が収縮して、直腸の角度を曲げて、便が直腸の中にとどまるようにブロックしてくれています。排便の際にはこの恥骨直腸筋が緩んで、直腸からまっすぐ肛門に向かう向きになります。そして腸が動き肛門が緩んで便が排出されます。このとき腸の動きをサポートする重要なものがあります。それは腹圧です。腹圧がしっかりかかると一気に腸の中の便を排出することができます。

腹圧をしっかりかけるためにはしっかりとした腹筋が必要です。そのために重要な筋肉は腹直筋下部と腹横筋です。腹直筋はおなかの前面の筋肉でいわゆる腹筋と呼ばれるものです。腹横筋は腹部の筋肉の最も内側に存在しています。シックスパックというように腹直筋は通常は6カ所に分かれると考えられていますが、実際は8カ所に分かれています。それはへそから下の腹直筋は目立ちにくく認識されにくいためです。

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