新型「エクストレイル」が中国市場で不評の誤算 伸び悩む中国市場で電動化にどう対応するか
2022年1~10の販売台数で3万台超となった車種の数を見ると、日産が3車種であるのに対し、トヨタは14車種、ホンダも12車種ある。また、モデルチェンジした主力車種の不振、ディーラーの値引き販売に加え、中国における日産車のブランド力が低下していると見られる。
“ゴーン時代”は、新興国市場を強化する方針を掲げ、販売台数の目標を優先した。その結果、値引き販売が行われることになり、ブランド力の低下をもたらしたとも言える。
こうした方針が、中国事業全体にも大きく影響を与えている。コロナ禍でファーストカーを買おうとしていた人の収入が減り、そこをメイン顧客にする中国系、韓国系、フランス系の新車販売は大苦戦。買い替え検討者のクルマ選びは、安全性や信頼性を重視する傾向にあり、新車需要も廉価車から中高級車へシフトしつつある。
日系車は、中間所得層以上が主に買い替えを目的に購入するため、ブランド力が物を言う。特にトヨタは廉価帯をほとんど手がけておらず、ハイブリッド車(HEV)をラインナップする優位性もあり、逆風下でも販売拡大を実現できていると言える。
「Nissan Ambition 2030」は実現できるか
日産は2021年11月、電気自動車(BEV)を中心とした“電動化”を戦略の中核とする長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表した。
電動化対応に今後5年間で2兆円を投資し、BEVと独自のHEV技術であるe-POWERを搭載した車両を2026年度までに20車種導入。ヨーロッパ、日本、中国における電動車の販売比率をそれぞれ75%超、55%超、40%超とすると掲げた。そして、2030年度までに新型電動車を23車種投入し、グローバルでラインナップの半数以上を電動車とすることを目指す。
中国で内燃機関車(エンジン車)の販売が低迷している中、日産はBEVシフトで新たな成長を図ろうとしている。熾烈な市場競争が続く中、日産にとっては、技術力とブランド力の向上による独自性や差別化が一層需要となる。また、BEVは走行性能、航速距離、安全性の向上だけではなく、車載電池の安定調達を含む車両のコストダウンにも注力する必要があるだろう。
なお、2022年11月6日には、蘇州市に新会社「日産モビリティサービス」の設立を上海市で開かれた「第5回中国国際輸入博覧会」で発表した。自動運転技術を活用する「ロボットタクシー」事業に取り組む会社だ。こうした自動運転を含む次世代技術の開発競争はとどまることがなく、投資を継続するためにも収益力の強化は重要であろう。
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