新型「エクストレイル」が中国市場で不評の誤算 伸び悩む中国市場で電動化にどう対応するか

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2018年には、初めて上汽フォルクスワーゲンの「ラヴィーダ」を超えて、中国乗用車市場のトップモデルとなった。その後も堅調で、2021年の販売台数は51.3万台、2022年1~10月には36.6万台を販売。5年連続での首位を維持している。

上汽フォルクスワーゲン「ラヴィーダ」(写真:volkswagen)

東風日産の新車販売に占めるシルフィの割合は、2018年の36%から2022年1~10月は46%へと上昇した。他のモデルの不振により東風日産全体の販売台数が減少している中、シルフィの好調は対照的で、はっきりと明暗がわかれている。

東風日産のベストセラー「シルフィ」(筆者撮影)

2つ目の要因は、主力SUVで起きた予想外の事情だ。東風日産が2021年7月に、中国市場で4代目となる新型「エクストレイル」を投入した。日本でも2022年の夏に発売されたモデルだ。

ダウンサイジングが裏目に

先代エクストレイルは2.0リッターと2.5リッターエンジンを搭載していたのに対し、1.5リッターのターボエンジンを採用する新モデルは、100kmを走行するのに必要な燃料が5.8リッター(=17.2km/L)となり、従来型の2.0リッターエンジンと比較すると、燃費効率は6.5%も改善した。それでいて走行性能は、2.5リッターエンジンに遜色ないレベルだ。

好調だった3代目「エクストレイル」(写真:日産自動車)

しかし、期待される新モデルの売れ行きは、予想外に低迷している。3代目エクストレイルの販売台数が2019年20.7万台、2020年17.5万台だったのに対し、新モデルは2021年7.9万台、2022年は1~9月で1.1万台と、大きく減少している。販売不調の主な要因は、パワートレインにあると見られる。

4代目エクストレイルは、ルノー・日産・三菱アライアンス共用の「CMF・C/Dプラットフォーム」で作られている。「CMF・C/D」とは、「コモン・モジュール・ファミリー、C/Dセグメント」を意味する。

現行型となる4代目「エクストレイル」(写真:日産自動車)

エンジンは従来の4気筒自然吸気ガソリンエンジンではなく、新たに開発された3気筒ガソリンターボエンジンを採用している。日本仕様とは異なり、e-POWERではない。この3気筒エンジンが、「高回転域で特有の振動音を発生する」とユーザーが指摘した。

その他の車種では見られない現象であるため、「エンジンの異常だ」といった口コミが広まり、新型エクストレイルにはネガティブなイメージが定着してしまったのだ。

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