新型「エクストレイル」が中国市場で不評の誤算 伸び悩む中国市場で電動化にどう対応するか
3気筒エンジンは構造上、振動が発生しやすい。これが、中国人の志向に合わないのだろう。かつては人気車種であったフォード「フォーカス」やビュイック「エクセル」も、3気筒エンジンモデルを投入すると、いずれも販売台数の減少を余儀なくされた。
そんな中、鄭州日産は2021年末に先代エクストレイルをベースとした4気筒エンジンの「エクストレイル・栄躍」を投入し、ファンの流失を防ごうとしている。しかし、旧モデルが復活したことによるネガティブなイメージが先行し、エクストレイルそのものを敬遠する消費者を増やす結果となった。
東風日産は、2022年8月に「4気筒エンジンを搭載する新型エクストレイルを2年後に投入する」と発表し、主力SUVモデルの復権を図ろうとしている。
エクストレイルと同じプラットフォームから生まれた「キャシュカイ」は、中国で人気を集めており、2022年1~10月の販売台数は13万台で、第7位となっている。しかし、キャシュカイを除くと、日産ブランドSUVの存在感は薄い。
ヴェヌーシアブランドの誤算
3つ目の要因は、ローカルブランド「東風ヴェヌーシア」の低迷だ。ヴェヌーシアは、東風日産が2012年にコンパクト車「ティーダ」のプラットフォームをベースとしてスタートしたブランドである。
「日産品質の安価ブランド」をキャッチコピーとし、ファーストカー市場の開拓に注力。2017年には、同ブランドを東風日産から独立させ、東風ヴェヌーシアを設立する。
日産プラットフォームを流用しながらも独自デザインの採用に切り替え、若年層をターゲットとするブランドコンセプトも打ち出した結果、同年の販売台数は14.3万台を記録した。
しかし、2017年以降、新車販売の減速が起こると、低価格車市場の競争が一層激しくなり、ヴェヌーシア車も苦戦。東風ヴェヌーシアの販売台数は、2018年に13.2万台、2020年には8.1万台にまで減少してしまう。
かかるなか、東風日産は2020年末に東風ヴェヌーシアを統合し、日産と並ぶ2ブランド体制で再びスタート。2021年には、ヴェヌーシアブランドの新型コンパクトSUV「啓辰大V(V-Online)」を投入するが、通年の販売台数は8.0万台にとどまっている。
日産は、車種や車格の壁を越えて共通化したモジュールの組み合わせによるクルマ作りに取り組み、コストダウンも実現したものの、有力車種が少ないことや廉価帯の中国専用ブランドの販売低迷が響いている。
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