日本が取り残された世界の「学び」で起きている事 経営学を学ぶだけではもう時代遅れた

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この動きからも、すでに「経営学」の定義そのものが以前より広がり始めていることがわかります。そして、ビジネススクールで教えられている教育コンテンツの開発はこれらの研究領域を基盤としています。

また世界のビジネススクールは、ファイナンスやデータアナリティクスの専門家を育てるプログラムを提供するなど、多様な学びを内包するようになっています。

ビジネススクールの教員も、自分自身を経営学者とは思っていない人が少なくありません。教員たちにあなたは何学者かと聞くと、「自分はファイナンスの専門家である」、「エコノミストである」、「社会学者である」といった答えが返ってくるでしょう。

アメリカの大学院の博士課程においても、社会科学におけるさまざまな学問分野が融合しつつあります。経営学、経済学、政治学と研究対象とする領域は異なっても、どのコースワークも計量経済学やゲーム理論を基盤としたものとなり、互いに内容が類似してきているのが最近の傾向です。

異分野のプロ同士がタッグ

さらに研究の世界でも「学際研究」の大きな流れがあり、異分野のプロフェッショナルがチームを組みながら研究を進めています。

学際研究は中長期的に大きなインパクトをもたらす研究を行うことが多く、例えば「経済学+心理学」からは行動経済学が、「心理学+ファイナンス」からは行動ファイナンスが誕生しています。最近ではマーケティングと脳科学(ニューロサイエンス)を組み合わせたり、社会学に実験とネットワーク分析を取り入れたりする研究も注目されています。

面白いのは、社会科学と自然科学の関係性も変わりつつあることです。

これまでは社会科学が自然科学の研究手法を借りる一方でした。実験や統計、データ分析、数理モデルなど、自然科学から生まれた手法を借りながら、社会科学は発展してきた経緯があります。

しかし、この20年ほどで、社会科学からも新たな手法がいくつも生み出され、それを自然科学が吸収するようにもなりました。例えば、経済学分野の統計手法である計量経済学のバイアスを排除する手法がバイオインフォマティクスの分野で活用されているというようなケースがあります。

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