マレーシア人監督「日本映画」に思う"海外との差" 日本の会社に就職し、中国で映画作りを学んだ
マレーシアは、元々ミニシアターはありません。シンガポールも台湾でもミニシアターはなくなりましたが、映画の多様性を維持する観点から、シネコンで大作の上映がない空き枠でやっています。
日本は、大作はシネコンで上映され、小さな作品はミニシアターで上映されています。その棲み分けはいいことなのではないかと……。
ミニシアターとシネコンで同じ作品を同時に上映してしまうと、音響も椅子も圧倒的にシネコンのほうが視聴環境はいいので、ミニシアターで見る人はいなくなってしまうのかもしれません。同じ作品がミニシアターとシネコンで上映されるアジアの他の国では日本ほど小さな映画を見る機会はありません。
――本作は映画館を訪れるロードムービーですね。
地方を全部回る決意
ロードムービーは自分の性格に合います。知らない場所で知らない人に会って知らない人の話を作りたい。自分がいろんな土地に住んだこともあるのかもしれませんが、自然に自分の中でそういうスタイルができました。今回は、大阪以外のところで撮るなら地方を全部回ろうと思いました。
僕の作品は全部自主配給で上映しているのですが、なかなか地方に持っていけません。一方、東京、大阪などの都会だと、ミニシアターはたくさんあるので気に入ってくれれば上映してもらえます。
地方はミニシアターが県に1つしかない場合もあるので、その県で上映するときには1館に集中するのでそれだけ競争も激しくなってしまうんです。
東京に比べて映画を見る人も圧倒的に少ないですし、やはり地方で自主映画を上映することは難しいです。配給会社が付かないと地方には持って行けません。そういう現実があったので、自分の映画を地方で営業したらどうなるのか?ということをそのまま映画にしました。
主役の渡辺(紘文)さんは、映画監督ですが、東京国際映画祭で出会いました。監督だけではなく、役者としても存在感がある。今回の企画はロードムービーで映画監督の話でピッタリだと思って話を持ちかけました。脚本はありません。すべてアドリブで演技してもらいましたが、素晴らしかったですね。
――地方のミニシアターを回る中で感じたことはありますか。
コロナ禍で苦境にありますが、都市部にいる私たちが思うよりもエネルギッシュで映画を愛しているという印象を受けました。とにかく映画が大好きで、「1人でも多くの人に見せたい」という強い気持ちを感じました。
ラストシーンは本編の劇映画とは別に全国の館長さんたちに取材したシーンが流れます。そのシーンも含めて、この作品を見て映画やミニシアターに対する愛を感じてもらえたら嬉しいです。
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