ご覧の通り、ネット婚の比率が増えたといっても、全体の婚姻数から見ればまだ微々たるもので、仮にネット婚を恋愛結婚の派生のひとつとみなせば、従来の恋愛結婚の代替えとしてネット婚に移行した人たちがいるだけであり、全体の恋愛結婚増に寄与するどころか、初婚数が減っているのはまさに恋愛結婚の数の減少によるものと解釈できます。
直近で恋愛結婚が多かった1990年代後半と比較すると、その減少率は実に46%減とほぼ半減です。むしろ、見合い結婚数は実数としてほんの少しですが増えているくらいです。
こうなると、「ほうら、やっぱり若者の恋愛離れが起きているんだよ」と言いたがる人も出てくると思いますが、決してそうではありません。以下のグラフを見ていただければ、長期推移として婚姻数が減っている要因がわかります。
職場の恋愛が減っている
1990年代半ばに恋愛結婚数は大きく伸長していますが、同時期に職場結婚数もMAXとなっています。以降、急激に下がり続け、最新の2021年対比では6割減です。同期間の全体初婚数の減少は4割弱ですから、職場結婚だけが異常に減っていることがわかります。言い換えれば「職場の恋愛が減っている」わけです。
『100年前の日本人が「全員結婚」できた理由』という過去記事でも書いた通り、もっとも婚姻数が多かった1972年と2015年とを比較した場合、見合い結婚と職場結婚を合算した婚姻数のマイナス分は約46万組で、それは婚姻総数のマイナス分と完全に一致しています。つまり婚姻数の減少はこれら2つのきっかけの減少分だったと言ってよいわけです。
伝統的な見合い結婚比率は減り続けていますが、この減少分を職場結婚が見合いに代わる結婚のお膳立てシステムとして機能していた部分は否定できません。1970年代から1990年代がそれに当たります。
当時の上司は部下の結婚を推奨し、仲人をやりたがっていた人も多かったわけです。いわばかつては「地域・村」がお膳立てしていた部分を「職場」が担っていたのでしょう。
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