定年後「自分の居場所がない」と嘆く人の深層心理 「居場所より出場所」を作るという新たな視点

✎ 1〜 ✎ 95 ✎ 96 ✎ 97 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「居場所がない」と感じている人意外と多いのではないでしょうか(写真:66BIRTH/PIXTA)
この記事の画像を見る(3枚)

「居場所がない」と嘆く人がいます。

学校や家庭の中に居場所のない若者もいるかもしれませんが、職場や地域の中に居場所を見出せない高齢者もいるでしょう。場合によっては、家の中に居場所のないお父さんもいるかもしれません。しかし、居場所があれば解決する話なんでしょうか?

ソリッド社会、リキッド社会とは?

社会学者ジグムント・バウマンは、かつての安定した社会をソリッド社会と呼び、現代社会をリキッド社会と表現しました。地域や職場や家族という強く固いコミュニティの中に、1つの構成要素として組み込まれ、互いに結びついて、結晶体のような強さによって安心を得ていたのがソリッド社会です。

しかし、そうしたコミュニティにおいて、内側を守ってくれていた強固な外壁や城壁が失われると、個人は結晶から融解され液体へと変わる。それがリキッド社会です。

ソリッド社会では、確かに不自由な面はありました。しかし、そのかわり、進むべき安全な道が提示されていて、社会が守ってくれていました。反対に、リキッド社会では、人々は自分の裁量で動き回れる自由を得た反面、常にその選択に対して自己責任を負うことになります。それは、個人による競争社会を招き、それに伴う格差社会を生みやすくします。

これがもうすでに到来している「個人化する社会」の姿です。好むと好まざるとにかかわらずそうなります。結婚しても家族がいても誰もがいつかは一人に戻る可能性があるわけですから。

次ページ「接続するコミュニティ」という視点
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事