幹部直撃!アリババ「独身の日」取引額非公表の訳 中国人消費者の「欲しいもの」が変化している

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アリババはスマートフォンやオンライン決済が普及する前の2009年にECの認知度向上を目的に独身の日セールを始めた。

同年の参加ブランドは30に満たず、GMVは5000万元だった。今年は世界から29万ブランドが同セールに参加し、「日本の大手ブランドはほぼすべてがアリババに出店している」(アリババ・ジャパン)ほど浸透した。

アリババのECのユーザーは10億人に達し、インターネットにアクセスできる国民の大部分が利用していると言っていい。ユーザー数が天井に近づき、セールのGMVが右肩上がりで増える状況も限界を迎えていた。

中国でも「質」を重視する時代に

アリババ
日本からもヒントを得たいと語る劉氏(撮影:尾形文繁)

「日本や欧米でも消費が量から質重視に転換する時期があった。中国もそのステージに入っている」と劉氏は述べた。

中国消費は成熟、多様化に向かいながら、同国特有の変化のスピード感を維持しており、アリババ、中国経済、中国社会のすべてが岐路に立っている。劉氏は日本からもヒントを得たいとし、「変化に気づき、新しいトレンドを素早く捉えることが次の成長のキーポイント」と強調した。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
Twitter: @sanadi37

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