日本で「タイBLドラマ」がこれだけ盛り上がるワケ タイ国政府観光庁の担当者に聞いた人気の裏側

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

複数の関係者が口をそろえる、日本でタイBLが人気である理由のひとつは、主要な登場人物が日本人の目から見ても“圧倒的に美形”であることだ。

そのため、ストーリーだけでなく俳優同士のカップリング(恋愛関係)を楽しんだり、アイドルのように俳優を応援するファンも多い。そしてツンデレやライバル関係といった、互いに正直になれないイケメン同士が次第に惹かれ合っていく熱いラブストーリーが展開するのも、BLファンの心を掴んだ理由のひとつといえる。

ここまで人気化したのには、きっかけもあった。世界的ヒット作となった先述のドラマ『2gether』が2020年2月にタイで放映された少し後、ある日本人BLファンがこの作品をTwitterで「面白い」とBLコミュニティに向けて発信したのが始まりだ。ドラマでの見どころや魅力を紹介したツイートは、瞬く間に日本のBL好きに認知された。

ちょうどこの頃は、コロナ禍による緊急事態宣言で全国的にステイホームが推奨されていた時期。外に出られず時間を持て余したBLファンの目に留まったこと、そして当時タイの制作会社GMMTVが『2gether』をYouTubeで無料で公開していたこともあり一気に人気が加速。ファンによって日本語字幕が付けられてさらに拡散されていき、総再生回数はなんと8億回を超えたという。

こうした動きには、タイ国政府観光庁でも驚きが広がったという。

「『2gether』以前にももちろんタイBLのドラマ自体はありましたが、タイ本国でも一部の限られたファンのなかで人気というだけで特に目立つものではありませんでした」と村井さんは振り返る。

この記事の画像を見る(5枚)

タイ国政府観光庁にも問い合わせが急増

村井さんによれば、タイBLが人気になったことで、タイの文化や言語に興味を持つ日本人が急増したという。オンラインのタイ語教室には希望者が押し寄せ、タイ国政府観光庁にもタイBLファンからの問い合わせが一気に増えた。

「ドラマを見て『タイに行ってみたい』『俳優さんの言葉を理解したい』『手紙をタイ語で書きたい』といった問い合わせが増えました。ドラマのタイ語は現地の人たちの言葉と比べて優しい印象で、トーンが耳に心地よいのが特徴です。俳優たちと同じようにタイ語を話せるようになりたいという声も多くなりましたね」

タイ国政府観光庁はタイBLファンの急増を受けて、2020年10月に公式Twitterアカウント「タイBLに恋したい!」を開設。「いつか憧れのタイに行きたい」というファンに向けてドラマの情報やタイの文化などを発信し、タイの魅力を伝える取り組みを開始した。

次ページタイBLの良さを伝えるべくTwitterを開設
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事