中小企業にこそブランディングが必要な理由 小規模活かし尖ったブランドコアの設定が可能
大企業のインナー・ブランディングは、まず人数が多いことで難しいと言えます。その点社員数が最も多い製造業の中小企業でも、中小企業基本法で300人以下と定められています。社長の鶴の一声でまとめることが可能な人数です。
これが大企業ですと、1つの商品ブランドでももっと多くの人数が関わっていることもよくあります。しかも基本的にはコーポレート・ブランドあっての商品ブランドですから、まずは全社員にコーポレート・ブランドのコアが浸透している必要があります。
そうでないと、複数ある商品ブランド同士が、自分たちのブランドを第一に考えるようになり、最悪の場合にはブランド同士が足を引っ張り合うことにもなりかねません。
実際、足を引っ張り合うまでいかなくても、事業部間や部門間の壁がある大企業が多いのではないでしょうか。実は、その壁をなくすためにもブランディングは有効なのです。
BtoB企業こそブランディングを!
もう1つブランディングに取り組んでほしいのがBtoB企業です。これも中小企業と同じです。取り組んでいる企業が少なく、伸びしろも大きいので、他のBtoB企業に差をつけやすい傾向があります。
それだけではありません。私たちはBtoC企業よりもBtoB企業のほうがブランディングが有効な面があると考えています。と言うのは、企業=ブランドの信用・信頼が取り引きにおいて重要だからです。BtoC企業のマーケティングが簡単というわけではないのですが、商品販売のマーケティング手法はかなり確立されており、効果も出やすいと言えます。
ところがBtoBのマーケティングについては、歴史も浅く、手法が確立しているとは言い難い状況です。そのためもあって、新規顧客獲得にコストも時間もかかるのが普通です。
初めての相手から引き合いがあっても、取引に至るまで数年というケースもざらです。一度取引ができるようになった相手とは長年付き合ってもらわないと元が取れません。そのためには自社をブランド化し、取引先にファンになってもらう必要があるわけです。
またBtoCでも高額商品ほどブランディングが大切です。宝石、高級時計、自動車、住宅などの業界は、どれもブランディングに力を入れています。BtoBは、取引額がさらに高額となります。だとすれば、いわゆる高級ブランドと同様にブランディングが大切なはずです。
なお、BtoBの購買プロセスのうち57%が営業担当者に会う前に完了していると言われています。ユーザー企業の購買担当者がそれまでに様々な情報を収集し、複数の会社を比較検討した上で声をかけているということです。となると、まずは比較検討対象に挙がらないと話にならないということで、そのためにもブランディングが重要なわけです。