「死にたい」と悩む子へ「絶対してはいけないこと」 和田秀樹氏が回答する「本当の自殺予防策」

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相手の話をひたすら聞くことに徹してください。こう思うという感想を話したり、意見を言ったり、ましてやこうすべきだとお説教をするのは厳禁です。

相手が落ち着いてきたら、「いつもとちょっと様子が違うように思う」「学校にスクールカウンセラーがいるから話してみよう」「心の問題を相談できる医者がいるから一緒に行こう」という風にプロにつないでください。

本人の気持ちを徹底的に聞くという過程をすっ飛ばして対応すると、「こいつはことなかれ主義だ」と失望されて、その後の人間関係を築くことが困難になります。

誤解を恐れずに言うと、いじめをなくすより、自殺をなくす方がよっぽど急務です。いじめもあまりに悲惨なものものならPTSD(心的外傷後ストレス障害)の原因になりますが、その場限りの一過性のいじめなら、乗り越えていける子は少なくありません。

差別をする、仲間外れにする、弱い奴をいじめる、自殺に追いやるまで心身を痛めつけるという行為は、優越感、支配欲などが充足するというある種の快感が伴うので、いったん体験するとなかなかやめることができなくなります。

「いじめ予防」よりも「起こったときにどうするか」

「いじめ予防」「非行予防」など、依然として日本の教育は予防教育が全盛です。問題が起こらないようという事前対策ばかりに力を入れていて、それも「○○しないようにしましょう」という標語提起教育、道徳観教育ですから、ほとんど効果が上がりません。

物事に対しての「予期不安」というのは際限なく広がりますから、予防の視点がエスカレートするあまり、ニックネームまで禁止するなんてわけのわからないことをやり始めます。

予防教育は、「やっていましたが……」というアリバイにもなります。ですから、実際にいじめが起こると、予防教育に効果がないことが実証されてしまうので、ひたすら隠蔽することになります。

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これではいじめられ、自殺に追い込まれた子は浮かばれません。だから、すぐに学校から逃げた方がいいのです。その上で対策を相談しましょう。

予防教育よりも、もし起こったときにどうするかというソリューション(解決方法)を教える教育の方が、リスクヘッジ(避けられない危険をできるだけ減らすための対策)としても実効性があります。

いじめや自殺は残念ながら起きてしまうことを前提として、問題が起こったときにどうするかということを子ども時代に経験させるという意味でも、重要だと考えています。

▼いじめなら、まずは逃げよう 
▼プロにつなげてもらおう
▼死にたいと思ったとき、どうすればいいかプロに相談しよう
和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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