香りの効果で認知症予防、「脳の活性化」促す理由 朝晩のアロマ使いでイライラが治まった人も

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このうち筆者がとくに注目しているのが、睡眠の質の向上です。

睡眠時間が短い人や睡眠の質が悪い人は、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドベータが脳に蓄積されやすいため、発症リスクが高まることが指摘されています。ところが、アロマの香りが視床下部に直接働きかけると、自律神経のバランスが整って副交感神経が優位になるため、安眠できるようになることが増えるようです。

ほかにも、気分が落ち込んだり、ゆううつになったりする状態をコントロールすることで、認知症を予防できることがわかっています。

前述した介護施設では、抑うつ状態の患者さんにも検証を行っています。転んで骨折し、車いす生活になった89歳の方がいました。「もう死んだほうがいい」とおっしゃるなど、生きる意欲が低下し、声まで小さくなっていました。そこで、前述したアロマのシールを1カ月貼ってもらったところ、車いすに座ったままの居眠りが減り、声のボリュームも大きくなるという変化が見られました。

このように、認知症のリスクを減らすという点でも、アロマセラピーが役立つ場面が多いのです。その人の症状や目的に合わせて使用できるのも利点です。

アロマセラピーを習慣化させよう

認知症は20年、30年かけてゆっくりと進行していくことがわかっています。65歳以上で発症する人が多いことを考えると、40~50代から対策を始めても早すぎることはありません。

長く続けていくことを考えると、無理なく自然に習慣として取り入れられることがポイントとなります。そういう意味でも嗅覚から刺激を取り入れるだけのアロマセラピーは適しているのです。

先のアルツハイマー病の患者さん同様、毎朝、毎晩の同じ時間帯に効果の異なるアロマを使ってアロマセラピーを行うのがおすすめです。選ぶアロマは、朝は頭がすっきりクリアになるハッカ(猫がいる家庭にはNG)を。夜はベルガモットやスイートオレンジ、真正ラベンダー、ホーリーフ、マグノリアなどの香りが適しています。カモミール・ローマンも中枢神経を穏やかにしてくれます。

選ぶ際に注意していただきたいのは、芳香成分100%のピュアなアロマを使用するということです。合成香料で作ったアロマオイルも多数市販されていますが、同じような香りでも、本来の効果・効能が得られないだけでなく、健康の面からも長期的な使用には適しません。専門知識を持ったスタッフがいる店で購入することも、アロマセラピーを生活に取り入れていくうえで重要なポイントです。

参考文献:浦上克哉『アロマの香りが認知症を予防・改善する』(宝島社)

池端 美和 株式会社MIWAIKEHATA代表取締役、一般財団法人日本アロマ療法創造機構代表理事、武庫川女子大学薬学部非常勤講師

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いけはた みわ / Miwa Ikehata

大阪府出身。不動産業界で起業後、30代から事業分野を拡大し美容業をスタート。アロマ化粧品ブランド「MIWAIKEHATA(ミワイケハタ)」をプロデュースする。関西の大手調剤薬局「くるみ薬局」においてアロマ販売事業をプロデュース。兵庫医大の敷地内薬局でも導入されており「アロマ×医療」の取り組みが話題に。武庫川女子大学薬学部とアロマの臨床教育等に関する連携・協力協定を結び、指導も行っている。著書に「どんなピンチも女を謳歌しながら乗り越えた。私、やりたいことは、決してあきらめない!」がある。株式会社MIWAIKEHATA

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