「意志が弱い人」でも痩せられる、目から鱗な方法 「三日坊主」克服のためにたった一つやるべき事

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入山章栄先生の「つけたし解説」
今回の経営理論:「経路依存性

「これまで何度ダイエットにチャレンジしたかわからない」という人は多いのではないでしょうか?

お菓子やアルコールに手を出すのをやめたり、ジョギングしたり……長続きしないことが多いですよね。でも、それは、あなたに根性がないからとは限りません。そもそも日々の習慣の捉え方に、課題が潜んでいる可能性があるのです。

ここで経営学的に重要なのが、「経路依存性」(Path Dependence)です。これは、「人の習慣は、その人の他の習慣と密接にうまく絡んでいる」という視点だと考えてください。だからこそ、全体の生活習慣が噛み合って日常が回るわけです。

ただ、逆に言えば、「複数の習慣全体がうまく絡み合っているので、特定のどこかの習慣だけを変えようとしても、うまく変えられない」ことが多いのです。

今回のかずえさんが、まさにそうでした。彼女は、昼にジョギングする習慣を増やしたかったけど、それが定着しなかった。なぜなら、かずえさんはそもそも忙しいし、同僚からランチに誘われがちなのです。

ジョギングは毎日の習慣にしないと、定着しません。でも忙しかったり、たまに同僚の誘いに応じていたりすると、ジョギングが不定期になるので決意が緩むわけです。 一方のよしみさんは、ランチをシリアルバーにしました。これが奏功したわけです。ポイントはシリアルバーのカロリーではありません。

シリアルバーにすれば、まず食事の時間を短縮できるので、昼休みの時間に余裕ができます。同僚とのランチにも行かないで済むし、しかも眠くなりません。結果、昼の空いた時間で毎日散歩する習慣がつくりやすかったのです。

つまり、かずえさんもよしみさんも、大事なのは運動する習慣そのものを無理やり追加することではなく、「そもそも忙しい昼どきに、毎日空いている時間をつくる」ことだったわけです。それに成功したよしみさんだけが、ダイエットに成功しました。

英語が上達しないのは、能力のせいではない

別の例として、英会話はどうでしょう。せっかく英会話スクールに通っているのに、英会話が上達しない方もいますよね。すると、「私はもともと素養がないのかなあ」 などと思い悩むと思います。

経営理論をガチであてはめてみたら自分のちょっとした努力って間違ってなかった
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でもそれは違うかもしれませんよ。なぜなら、いつまでたっても英会話がうまくならないのは、あなたの能力のせいではなく、そもそも「日常で、必死になって英語を話す必要性のある場がないから」かもしれません。つまりインプットではなく、アウトプットの場ですね。

だって、必死に英語を使う必要が日常にないのであれば、スクールで学んでもやはり必死さは減りますよね。 つまり、本気で英語を話せるようになりたければ、大事なのはスクールに通うこと以上に、「英語圏出身で日本語を話せない恋人をつくる」とか、「英語しか通じない外国人だらけの趣味のサークルに通う」などの、必死になって英語を話す日常の場が必要ということなのです。

そんなわけで、何かを変えたいのに変えられず悩んでいる場合は、ぜひ「経路依存性」を考えてみてください。あなたの習慣は、あなたの別の習慣と関連しています。ですから、変えたい習慣を見直すには、実は別の習慣を見直すほうが大事かもしれない、ということなんです。

さわぐちけいすけ 漫画家

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Keisuke Sawaguchi

1989年岩手県生まれ。大学卒業後に会社員生活を経て退職。東京やオーストラリアなどでアルバイトや絵を描いて生活しながらTwitterに漫画の投稿を開始。2016年頃から漫画家のフリーランスとして精力的に漫画を制作。近著に『だからお前はダメなんだ』(大和書房)、『僕たちはもう帰りたい』(ライツ社)。月刊誌『日経WOMAN』にて「働くモヤモヤの解消法は哲学が教えてくれる!」を連載中。
 

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入山 章栄 早稲田大学ビジネススクール教授

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いりやま あきえ / Akie Iriyama

1972年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、同大学大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所で主に自動車メーカーや国内外政府機関へのコンサルティング業務に従事した後、2008年にピッツバーグ大学経営大学院よりPh.D.を取得。ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクールのアシスタントプロフェッサーを経て、2019年より現職。専門は経営戦略論、国際経営論。著書に『世界標準の経営理論』などがある。

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