運動で「健康になる人・ならない人」の徹底的違い 有酸素運動、筋トレ、ストレッチの効果を解説

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関節を動かす筋肉を伸ばすことで、筋肉と関節の柔軟性を高めるのがストレッチです。ラジオ体操のように、筋肉をリズミカルに伸び縮みさせる動的ストレッチと、ヨガのように筋肉を伸ばしたまま静止する静的ストレッチの2種類があります。

ストレッチの体力面の効果は、柔軟性が高まって関節の動く範囲(関節可動域)が大きくなることです。

可動域が狭まると、腕を上げにくくなったり、歩幅が狭くなったり、階段が上りにくくなったりします。固くなった関節は包帯やサポーターで固定されたような状態ですから、動かすためにより多くの筋力が必要になります。歳をとると疲れやすくなるのは、柔軟性の低下も大きく関わっているのです。反対に、柔軟性が高まれば必要最小限の力で体を動かせますから、疲労を感じにくくなります。

健康面の最大の効果は、ケガをしにくくなることでしょう。歳を重ねると若い頃はなんでもなかったような動きでもケガをしやすくなります。顔を洗おうと前かがみになっただけで腰を痛めたり、階段を1段踏み外しただけでアキレス腱が切れたり。

四十肩、五十肩も同様です。高いものを取ろうと腕を上げたり、うしろにあるものを取ろうと腕を伸ばしたりしたときなどに生じる炎症が、周囲に広がることで起こります。これは筋肉と腱の柔軟性が衰えているからです。しなやかな竹が折れにくいように、ストレッチで柔軟性を高めた筋肉や腱は傷つきにくく、こうした問題を防ぐことにつながるのです。

柔軟性は姿勢と直結します。これが美容面の効果です。

加齢や運動不足で柔軟性が低下しやすいのは、お尻の大殿筋とお腹の腹直筋で、これらの筋肉が硬くなると骨盤がうしろに傾き、背中が丸まってきます。骨盤が後傾すればお尻が垂れ下がって下腹が前に出ますし、背中が丸まれば胸が垂れ下がって見えます。これでは若々しく、魅力的には見えません。

筋力トレーニングの効果3つ

筋トレの体力面の効果は筋力が高まることです。加齢に伴って体が重く感じるようになるのは、体の動力装置である筋肉の出力=筋力が衰えるからです。

健康面の効果は基礎代謝量を高めること。筋肉は動力装置であるとともに熱発生装置でもあり、体温を生み出すためにたくさんのエネルギーを消費しています。基礎代謝(生きるために必要なエネルギー消費)のうち、少なくとも20%を筋肉が消費しています。このため、筋肉が衰えると基礎代謝量も減少し、食事量が増えていなくても体にエネルギーが余ります。

その結果、内臓脂肪や皮下脂肪、血中脂質が増加して動脈硬化が進み、生活習慣病のリスクが高まります。筋トレをすれば筋肉が増えて基礎代謝量が底上げされるので、太りにくい体質へと変わります。

次ページ筋肉の肥大と美容効果の関係
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