フランス人作家描く「児童婚」「ダリット」のリアル インドで出会った2人の教師から物語ができた
読者ともつながりを感じるという。「海外の人たちが、私の作品を愛しキャラクターに共感してくれると知ると、いつも不思議で魔法にかかったような気持ちになります。なぜなら私は、とても特殊なキャラクターを書こうとしているのに、特殊であればあるほど普遍的なものを得られるからです。実は、設定が特殊であればあるほど、普遍的なものにつながる、と私は思います」。
実際、読んでいると、ラリータやインド人女性たちの困難は日本とはかけ離れているにもかかわらず、私には日本で貧困や差別で苦しい思いをしている人々の状況に通じる話のように感じられた。
子どもが教えてくれた「教育を受けることのありがたさ」
『あなたの教室』は、教師をしている人たちからも大きな反響があった。コロンバニ氏によると、フランスの教師は十分な待遇を受けておらず、性的被害に遭ったり侮辱されることすらあり、あまり尊敬されなくなっている背景がある。
「多くの教師から、『この本を授業で勉強しようと考えている、なぜならこの本は教育の重要性を説いているから』と言われました。教育を受けられたありがたさを私たちは忘れがちですし、若い人も忘れています」
コロンバニ氏自身も11歳の娘を持つ母親だが、マンガに夢中な娘に対して、つねに勉強をすることの大切さを語っているという。それは「勉強は選択肢を得るチャンスであり、自由は教育によって与えられるから」だ。
「娘にとってそれは抽象的なことですが、インドの小さな少女たちはそれをとても意識しています。学校に行くことが、貧困から抜け出す唯一のチャンスだと彼女たちは知っていました。学校には自由があることをわかっているのです。だから、私は子どもたちが学校を求める場面を、物語の最初に置きました」とコロンバニ氏は話す。
コロンバニ氏が、インドとはかけ離れたインドの問題を調べ、描くことは容易ではないだろう。だが、コロンバニ氏は中の人間ではなく、外部の人間だからこそ見える問題を描くことが重要だと考えている。国境や年齢や環境を超えて、世界中で共感を呼ぶコロンバニ氏の作品は、理不尽な差別を解消するために日本を含む女性たちが連帯していくきっかけになるかもしれない。
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