フランス人作家描く「児童婚」「ダリット」のリアル インドで出会った2人の教師から物語ができた

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冒頭のとおり、レナは故郷で大きな不幸を体験し、自分を癒そうとインドへやって来る。しかし傷心の彼女が出会うのは、過酷な運命に翻弄される少女たちだ。その状況とレナの思いを自分なりに理解するため、最初の2章を書くのに6カ月かかったという。

レティシア・コロンバニ氏
現在は『三つ編み』の映画版製作に取り組んでいるレティシア・コロンバニ氏(C)Céline Nieszawer/Leextra/Éditions Grasset

レナが、ダリットが暮らす南インドへ旅行したのは偶然だ。彼女がインドのコミュニティーを救おうとその町を訪れたわけではなかったことが、物語を進めるうえでは重要だった。

「重要なのは、レナが自分を救うためには何でもすることを示すことでした。彼女は貧しい人々を救うためにインドへ赴くヒロインではありません。そして弱さも抱え、自分自身を愛していますが絶望しています。強くて寛大ですが、時には自分勝手なところがある。レナには多面的なキャラクターであって欲しかったのです」

壮絶な体験をした3人の女性の「つながり」

彼女が助けようとするラリータも、心を閉ざす壊れた側面がある。物語のもう1人の重要人物、女性たちを救うために活動するインド人女性プリーティも、自分に性的暴行を働いた男性との結婚を強要され、家族を捨てた過去がある。3人とも壮絶な体験で家族を失った共通点を持つ。

「壊れたキャラクターは、とても興味深い存在だと思います。なぜなら彼らには失うものがないからです。レナがラリータを救うのか、ラリータがレナを救うのかわかりません。実は両方だと思うのです」とコロンバニ氏。過酷な人生を抱えているキャラクターだからこそ、あえて過酷な現場を必要とした側面があるのかもしれない。

レナは、児童婚の習慣とも直面する。「インドで13歳の少女が、結婚し学校を辞めなければならない、と泣いている姿を観ました。彼女は村を去り、家族や友人からも離れなければならないのです。それは彼女にとって、人生の終わりを意味する。私には彼女と同年代の11歳の娘がいることもあり、とてもショックを受けました。何しろ、彼女自身がまだ、人形を腕に抱えた少女なのです。

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