日銀が金融緩和策を変更すると一体どうなるのか 一歩間違えば円大暴落だけでは済まない事態に

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国内メディアも、灰色総裁を一斉に攻撃した。
「総裁、これは利上げですか、利上げではないんですか? どっちなんですか!」
「利上げではありません。強力な緩和を継続し、わが国の物価動向は……、景気も……」

「なぜ指し値の利回りが切り上がったんですか? 利上げを利上げでないと言い逃れしているだけじゃないですか!」
「いえ、そんなことはありません……」
「では、なんなんですか!」

別の記者も攻撃した。
「国債利回りが0.5%を突破して、海外市場では0.75%までいったんですよ! 見透かされてますよ!」

さらに別の記者もかさにかかって、非難する。
「国債だけではなく、円も売り浴びせられてますよ! 本来利回りが上昇したら、円高になるはずでしょ! 債券安、為替安、日本売りです! それも、総裁の政策変更のせいです!」

「いえ、ですから……うっ……」
「総裁、総裁! 大丈夫ですかっ?」

灰色総裁は不眠と疲労、そしてもちろん心労で記者会見の場で倒れてしまい、緊急入院となった。幸い、命に別状はなかったが、絶対安静となり、医者は公務に復帰するのは1カ月以上かかるとのコメントだった。

慌てた官邸は日銀と緊急に話し合い、臨時の措置として薔薇色桃子副総裁を総裁代行とすることを決定した。

薔薇色総裁代行は事態を悪化させ、円は大暴落

薔薇色総裁代行は翌日、臨時政策決定会合を開くこととした。この混乱を収束させるためということだった。

臨時政策決定会合では、政策は元に戻されることとなった。つまり、10年物0%程度、乖離許容幅0.25%で、連続指し値オペは無制限で0.25%となったのである。

しかし、この政策の後戻りは、当然、事態をさらに悪化させてしまった。国債市場では売りが殺到し、買い入れ対象の国債はすべて日銀が保有する結果となり、オペの意味がなくなった。そして、海外の先物市場では金利がさらに急騰した。

そして、円が大暴落し始めた。アメリカの利上げペースが緩和され、ドルの全面高局面が終了し、ドル円も落ち着き、水準を切り下げていたが、灰色総裁の乖離許容幅拡大で、円安が再度進み始めてしまったところだった。それが、一瞬で大暴落となってしまった。これで、日本国中がパニックとなった。

次ページ円の大暴落だけではすまなかった
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