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日銀が金融緩和策を変更すると一体どうなるのか 一歩間違えば円大暴落だけでは済まない事態に

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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「もうこれで利上げは終わり、というメッセージです。1%は死守するラインで、それを突破されないように、その前にも死守ラインを設け、とことん頑張るんです」

「それで?」
「やつらが攻撃をあきらめるまで0.9%で買い続けます。彼らは1%までは後退するだろうと攻撃すると思いますが、そこで0.9%とことん買い続ければ、彼らも弾が尽きます。そうすれば、0.9%で無風になります。そこで、YCCをやめると発表するのです」

「そうすると?」
「ここで、もしもう一度攻めてくれば、再度0.9%で守ります。しかし、彼らは弾が尽きているので、補充しても迫力はないはずです。つまり、YCCをやめるタイミングの前に、彼らを疲弊させておくのです。それにより、YCCをやめた直後の戦いでは、勝ちやすくなります。彼らが力尽きた直後に、YCCをやめるんです」

「なるほど。うまくいきそうだな」
「いえ、やってみないとわかりません」
「おい! 勧めておいて、なんだそれは! 俺を罠にかけるのか! そんな不確実なことができるか!」
「勝負はやってみないとわかりません。時の運です」
「お前な……。お前はクビだ!」

「総裁は副総裁をクビにはできません」
「なに!! いつのまにそんな反抗的に……。わかった。もう帰りたまえ」
「はい」

灰色総裁はつぶやいた。

「あいつめ。なんてやつだ。しかし、あいつの言うのも一理あるな。このままずっと何もしないわけにもいかない。世界の金利市場の実勢を鑑みれば、日本国債の金利上昇もやむをえまい。しかし、かといって利上げはできない。う―――ん……」

指し値オペを0.5%にした日銀、利回りは瞬時に0.75%

その3日後の政策決定会合後の記者会見で、灰色総裁は政策変更を発表した。それは、乖離許容幅を±0.25%から±0.5%に拡大する、というものだった。連続指し値オペは継続するが、0.5%で無制限に買い入れる、というものだった。

国債市場は直ちに反応し、利回り0.5%まで上昇したが、その後、海外先物市場ではそこで止まらず、あっという間に0.75%まで上昇した。次の乖離許容幅の拡大を織り込んだものだった。

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【案の定、灰色総裁は火だるまに……】

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