「奨学金600万円」運に見放された56歳彼の諦念 「お金には困っているけど、後悔はないんです」

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大学からは『文科省から予算が付かないから』と言われたのですが、僕以外の2人は雇用が継続されていて……。理由を探っていくと、どうも国立大学特有の学閥も関係していて、その大学出身の後輩研究者を入れたかったようです。僕が辞めた直後に新たな公募が出たのですが、条件面がもう完全にその後輩を受け入れるためのものになっていました」

こうして、50歳を迎える前に路頭に迷ってしまった奥山さん。再就職を目指して5年で100を超える公募に応募したが、今度は箸にも棒にもかからなかった。

「下手に国立大学の准教授までいったことが災いして、『なにか訳ありなのでは?』と思われてしまうんです。『オーバースペック』『雇いにくい』と言われたこともありました。もう、こうなってくると仕事を選んでいられないので、毎年いろんな公募には応募してきましたが、だんだん歳を取るごとに不利になっていきますよね。

仕事がないわけではないですが、専任のポストがないんです。少子化で学生の数が減ったことで、どの大学も非常勤でやりくりしようと必死なんですよ。昔は『団塊の世代が退職したら君らの時代だよ』と言われてましたけど、いざ彼らがいなくなると、空いたポストに収まったのは僕よりも若い世代でした。まあね、僕が雇う側やったとしても、30〜40代の若手を安い給料で雇いますしね。僕だって、それぐらいの年齢で就職していますしね。だから、もう今では専任講師での復帰は諦めてるんです。

これまでの働き方を鑑みると、もう年金もフルではもらえないでしょうし、『この先、どうなるんだろう』というのが正直な気持ちです……」

50歳を超えて奨学金の返済開始

あまりにも暗い話が続くため、かつてのように海外の大学に就職はできないのかと、聞いてみると、今度は奨学金の存在が邪魔をしてくるという。

「免除期間が過ぎてしまい、ついに昨年の夏から、奨学金の返済が始まったんです。国立大学を辞めてから5年間猶予をもらっていて、その間に再就職すればまた免除される予定やったんですが、結局どこにも就職できずに5年間過ぎてしまい、50歳を超えてから返済開始という……。

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