「ウマ娘」作曲家逮捕で楽曲の取り扱いが難しい訳 「作者と作品は別物」として使い続けられるのか

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田中秀和
田中秀和氏はオフィシャルウェブサイトを持ち、各SNSでもアカウントを開設。多数のフォロワーを抱える(画像:田中秀和 Official Web Site)

『ウマ娘プリティダービー』『アイドルマスター シンデレラガールズ』などの楽曲の作曲・編曲を手がけていた作曲家の田中秀和氏が、強制わいせつ未遂容疑で警視庁碑文谷署に逮捕された。

田中氏は、一般的な知名度こそ高くはなかったが、有名なアニメやゲームの楽曲を手がけており、音楽業界、アニメファンからはカリスマ的な存在だった。それだけに、本事件の衝撃は大きかったし、田中氏の作品の今後の扱いについても、議論が起きている状況である。

こうした事件が起きるたびに、「クリエーターと作品は別物か?」という議論が巻き起こる。ファンの多くは、作者が不祥事を起こしても、「作品は別物だから、お蔵入りさせるべきではない」といった擁護をする。批判的な見方をする人は、問題を起こした人物の作品を使い続けること自体が反社会的な行為だと主張する。

どちらの意見が正しいと言うことはできないが、後者の考え方をする人が増えているということ、世論も後者の意見に近くなっていることは紛れもない事実だ。

漫画『アクタージュ』との連想から考える

今回の事件が報道された直後、「アクタージュ」という言葉がTwitterトレンドに入った。2020年8月、週刊少年ジャンプで連載されていた『アクタージュact-age』の原作者マツキタツヤ氏は強制わいせつの疑いで逮捕された。それを受けて、『アクタージュ』も連載中止となった。

本件と同様に考えると、アニメやゲームに使われている田中氏の作品は利用停止して、お蔵入りさせるのが妥当のように思える。

ただ、事情が異なる点もある。『アクタージュ』は、宇佐崎しろ氏が作画を行っているが、原作者はマツキタツヤ氏であり、マツキ氏の作品への関与は非常に強い。

一方で、田中秀和氏は、楽曲は提供しているものの、アニメやゲーム作品に対する関与度という点では、限定的であると言える。強い批判を受けなければ、そのままでも良いのではないか――という考え方も成り立つかもしれない。

行った行為は類似しているものの、漫画と音楽という違い、作品に対する関わり方、責任の範囲という点などにおいて、異なっている点もある。

本件について考える際に、東京五輪の事例が参考になる。

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