三重の老舗米屋が手がけた「カレー専用米」の正体 無印良品のレトルトカレーに合わせてみたら…
素人目線では、松阪牛や伊勢エビのような高級食材には最高級のお米、例えば、新潟・魚沼産のコシヒカリや前出の岐阜・飛騨産の龍の瞳を合わせたくなるが、そんな単純なものではない。高級米の強い粘りと濃厚な甘みが逆に食材の邪魔をしてしまうのだ。
「松阪牛と食べると重たく感じてしまうし、伊勢エビも繊細な味を損ねてしまいます。そこで、コシヒカリよりも粘りが少なく、大粒で食べごたえのある三重のブランド米『結びの神』を使っています。クセが強くないので、他のお米と合わせても邪魔をしないんです」(石川さん)
ブレンドしたお米を城山氏と柴田氏に試食してもらい、ブレンドの比率を再調整して理想の味に近づけていく。そんな作業を1年以上もコツコツと重ねて、今年5月に濃厚でジューシーな肉の旨みに負けない「松阪牛のための米」と上品で繊細な伊勢エビの味をさらに引き立てる「伊勢エビのための米」を店頭とネットで販売を開始した。
クミン入りのカレー専用米
それぞれ3合ずつセットになって価格は3000円。お米にしてはかなり高額だが、お歳暮やお中元など贈答品としての需要を狙っているためだ。
「正直、まだまだこれからです。今年のお歳暮シーズンが勝負だと思っています。松阪牛や伊勢エビよりも、もっと日常的に食べているもので専用米ができないかと思っていました。そして、今年に入ってから松阪牛、伊勢エビと同時進行で取り組んでいた商品が今年8月に完成しました」(石川さん)
それが「カレーのための米」だ。本格的な欧風カレーやインドカレー、ブームが続いているスパイスカレーとの相性は言うまでもないが、石川さんが考えたのは普段食べているレトルトカレーの味をワンランク上げるための専用米だった。
一般的にカレーに合わせるお米は、粘り気の少ないパラパラとした銘柄がよいとされている。石川さんが選んだのは、しっかりとした旨みがある上に粘りの少ない三重県産米。それをベースにお米をブレンドし、さらにプチプチとした食感をプラスしようと、もち麦も加えた。
これでほぼ完成したと思っていたが、人づてに知り合って監修を依頼した奈良県のスープカレー専門店「カリー事変」の店主、藤巻美雪さんに意見を聞くと、スパイスを加えることを提案された。
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