三重の老舗米屋が手がけた「カレー専用米」の正体 無印良品のレトルトカレーに合わせてみたら…

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もともと店は多度駅前にあり、店を継いだのを機に現在地に新店舗をオープンした。ここの建物はもともと親戚が使っていた倉庫をリノベーションしたそうで、多度大社の目の前という立地から米屋というよりもカフェのようだ。

と、思ったら、カフェメニューも用意されていた。三重のブランド米、「結びの神」の玄米を焙煎したノンカフェインの飲料「玄米デカフェ」や地元産のもち米で作った玄米餅を米油で揚げた「玄米揚げウマ餅」がそれだ。

また、店内には岐阜・飛騨の「龍の瞳」をはじめ、三ツ星お米マイスターでもある石川さんが厳選したお米が並んでいる。どれも1パック2〜3合入りで、試食用の他、お土産に買っていく客も多いという。

「車久米穀店」の5代目店主、石川信介さん。三ツ星お米マイスターの資格も持つ(筆者撮影)

「以前は地元産のお米だけを扱っていましたが、今はいろんなルートを通じて北海道や新潟など全国から常時12、13種類を用意しています。『龍の瞳』もその1つです。これらのお米を3分や5分から7分、さらには無洗米まで精米のオーダーも承っています。ネット通販も始めました」(石川さん)

店内の至るところから、おいしいお米を食べてほしいという石川さんの思いが伝わってくるが、極めつけはオリジナルのブレンド米だ。

食材に合わせた米を提案する

米は銘柄ごとに粒の大きさや粘り、甘みなどが異なる。例えば、寿司のシャリには粘り気が少なく、粒の大きい米が向いている。筆者が暮らす愛知県内の寿司店の多くは、その条件に合致した岐阜県産のハツシモを使っている。

寿司に限らず、丼ものやカレーなどご飯が主役となる料理は料理人自身が米を選ぶのが常識である。そこで石川さんが考えたのは、食材に合わせた米を提案すること。いわば、料理とのマリアージュである。

「日本酒やワインのように、食材や料理に合わせてお米を選ぶことができたら楽しいだろうと思いました。とくに三重県には、松阪牛と伊勢エビという全国屈指の高級食材があります。まずはこの2つの食材に合うお米を提案しようと思いました。ただ、私一人が発信してもインパクトに欠けるため、専門家の力もお借りしました」(石川さん)

白羽の矢が立ったのは、三重県桑名市にある日本料理店「三彩」の店主、城山藤利氏と、名古屋市千種区にある日本料理店「かしづき」の店主、柴田修次氏。城山氏は長島温泉ホテル「花水木」、柴田氏は老舗料亭「船津屋」の出身。松阪牛と伊勢エビを熟知していることから監修を依頼したのだった。

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