星野代表が指摘「コロナ後に向けた観光課題解決」 都市部の「ホテル過剰供給」にも新たな一手
なお、星野リゾートでは以前から、とくにゴールデンウィークなどの繁忙期に連泊の促進に取り組んでおり、「統計を見ると、連泊のお客様のほうが満足度が高く、リピート率も高い」(星野氏)という。さらに連泊には以下のような効果もあると話す。
「仮に、これまで年間に旅行先で10泊していた人がいたとして、1泊旅行を2泊に変えてもらえば往復の交通量が半分になり、渋滞が減り、二酸化炭素の排出量も減少する。また、(星野リゾートでは)連泊の場合、シーツ交換などの頻度や量を減らすオプションを提供しているので環境負荷も下がる。さらに連泊を促進するためには、滞在時間を楽しんでいただけるよう、地域の魅力をもっと紹介する必要がある。そのためには、地元の食や芸術、スポーツといったさまざまなアクティビティーを提供してくださる地域の方々を巻き込んでいくことになる。
こうしたことを通じて宿と交通事業者以外にもお金が落ちるようになれば、地元にとって観光がより大事な『コト』となり、結果的に地域の人たちに支持される観光産業にもなるという好循環が生まれる」
ワーケーションにからめた施策
「観光地における滞在時間を延ばす」という視点で見た場合、神奈川県は都心から近いことから日帰り観光の割合が多く、泊数を伸ばすのが難しい面がある。望月氏は今後、県内観光地における滞在時間を延ばすための施策として、前述した周遊促進に加え、コロナ禍で需要が増えたワーケーションにからめた施策を進めるという。
「都心から近く、なにかあったらいつでも帰れるという距離感が、ワーケーション先としての神奈川県のウリになるはずだ。『滞在』というと宿泊施設に目が向きがちだが、平日は稼働率があまり高くない美術館などの施設をカンファレンスやワーケーションの場として企業にご利用いただくことで、地元にお金を落とす仕組みを構築できる。また、仕事後に観光しようということになれば、結果的に宿泊を促すことにもつながる」
一方で望月氏は、現状のワーケーションのあり方に関しては、改善すべき点もあると言う。
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