星野代表が指摘「コロナ後に向けた観光課題解決」 都市部の「ホテル過剰供給」にも新たな一手

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都市部ではインバウンド観光客の姿を見ることが多くなってきた。10月23日の渋谷ハチ公前広場(筆者撮影)

オーバーツーリズムの解消と密接な問題として、量の観光から質の観光への転換がある。これはインバウンド、日本人旅行者双方に当てはまる問題だ。

これまで、週末と春・秋の連休に旅行が集中する日本においては、一定期間に多数の客をさばく量の観光を追求せざるをえないという実情があった。しかし、すでに多くの識者が指摘しているように、量を追求するビジネスモデルのままでは、旅行産業の生産性向上は難しく、他の主要産業に比べて旅行産業に携わる人材の待遇面が見劣りするという現状を打破できない。

キーワードは「連泊の促進」

この問題の解決策として、大型連休を地域別に取得するなど日本人の連休の平準化や、バカンスの長い欧米豪からのインバウンド誘致などとともに、星野氏が重要なキーワードとして掲げるのが「連泊」の促進だ。今年の夏、3年ぶりにニュージーランドを訪れ、クイーンズタウンのDMOのトップと今後の観光のあり方についても議論してきたという星野氏は、次のように話す。

「彼らはマオリ(ニュージーランドの先住民族)文化に対するリスペクトを持っている観光客に日帰りや1日ではなく、数日は滞在してマオリ文化への理解を深めてほしいと考えている。2泊、3泊と連泊する中で、ホテル内のレストランだけではなく地場のレストランでも食事をとり、マオリの博物館など地域の文化に触れられる場所にも足を運んでもらいたいということだ。

この事例は、ホスト(受け入れ観光地)の側で、今まで以上にどのようなお客様に来てほしいかを明確にイメージし、ターゲットを絞る時代が来ていることを示しており、アフターコロナにおいては、こうした傾向が世界各地で出てくると思う」

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