星野代表が指摘「コロナ後に向けた観光課題解決」 都市部の「ホテル過剰供給」にも新たな一手
インバウンド格差はもっと狭いエリア、すなわち都道府県内の観光地間においても生じていた。
たとえば神奈川県においては横浜・鎌倉・箱根といった大観光地にインバウンドが集中する一方で、他の多くの市町村がインバウンドの恩恵を受けられないでいた。
こうした県内におけるインバウンド格差への対応策の1つとして、県観光協会会長の望月氏は「周遊」を掲げ、大観光地の宿泊客をその周辺へ周遊させることで、経済効果の波及を促進したいとする。そして、具体的な施策を考える上で次の話がヒントになったと言う。
ホテルを確保しながら同日に別の宿も予約
「横浜の観光担当者から聞いた話だが、あるインバウンド客が横浜の高級ホテルに長期で部屋を確保しているのに、(期間中ずっとは)ホテルにいる痕跡がないというケースがあった。おそらく富裕層なのだと思うが、そのホテルをベースキャンプにして、大きな荷物を置いて周辺に出かけ、場合によっては出かけた先に泊まっているのだろう」
周遊する際、大きなスーツケースを持ち歩くことが苦痛であることから、こうしたケースは意外に多くあるのかもしれないが、ホテルを確保しながら同日に別の宿も予約するというのは、ある程度の富裕層にしかできないことであろう。そこで望月氏は、今後に向けて、次のようなプランを打ち出していきたいと言う。
「やや極端な話に聞こえるかもしれないが、(ホテルがやや供給過剰気味の)横浜に3泊するお客様がいるとして、2泊分のみの料金をいただき、その代わりに他所で1泊してくださいとお願いするプランを提案することを考えている。最初は(ホテル事業者の側に)抵抗があるかもしれないが、横浜と他の観光地の同系列のホテル同士で始めるなどして効果が出れば、動きが広まるだろう。これは神奈川県内でお客様を囲い込むという話ではなく、将来的には他県と連携してもいいと考えている」
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