アメリカが「日本の金融政策転換」を恐れるワケ 英「金融メルトダウン」で米国に広がる不安

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当局者が懸念を募らせるのも当然だ。いま市場がメルトダウンを起こせば、問題は極めて大きなものとなる。

FRBは目下、過去40年で最速のインフレを抑えるため、金利を急速に引き上げるのと同時に保有債券の縮小を進めている。ところが、金融危機が発生すれば、FRBは方針転換を余儀なくされる可能性がある。FRBは以前、大量のアメリカ国債を購入し、揺らぐ市場の安定化を図ったことがある。現在とは真逆の政策だ。

「グレート・リセッション」がトラウマに

ホワイトハウスにも懸念すべき理由がある。バイデン氏は、副大統領時代に経験した「グレート・リセッション」(リーマンショックがもたらした大不況)がトラウマになっている。

リーマンショックは1930年代以降で最悪の景気後退をもたらした金融メルトダウンで、何百万という人々が仕事を失った。景気回復の足取りは極めて重く、オバマ政権は何年にもわたって経済対策に苦しめられた。

バイデン氏は自らの経済チームに対し、2008年のリーマンショックのような事態が再来する可能性を推定するよう強く求めるようになっている。ジャネット・イエレン財務長官ら財務省の最上層部は、イギリスのような緊迫した事態となる兆候が現れていないかどうか、アメリカ国債市場の動向を注視している。

バイデン政権の関係者は、アメリカ国債市場の取引は以前より難しいものになっているとはいえ、そのほかの点では問題なく機能していると指摘。複数の当局者は、緊急事態となれば、イングランド銀行が行ったようにFRBが介入して国債を買い入れることになるだろう、と語った。

(執筆:Jeanna Smialek記者、Jim Tankersley記者、Joe Rennison記者)
(C)2022 The New York Times

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