アメリカが「日本の金融政策転換」を恐れるワケ 英「金融メルトダウン」で米国に広がる不安
FRB、アメリカ財務省、ホワイトハウスの当局者もそうした中で、アメリカ自身が市場を激しく揺るがすメルトダウンに直面し、急激なインフレへの対処が一段と難しくなり、家計が厳しく圧迫されるおそれがないか点検作業を進めている。
バイデン政権の当局者は現在も、アメリカの金融システムで同様のショックが発生する可能性は低く、仮に発生しても耐えられるだけの余力がある、という楽観的な立場を崩していない。ただ政府とFRBは、異様な脆弱性をのぞかせるようになった経済の動向に目を光らせるようになっている。
「今にも何かが壊れるような感じがする」
金融市場はアメリカを含め世界的に不安定な状態が続いている。FRBなど各国の中央銀行がインフレを制御しようと利上げを急ピッチで進めているためだ。それにより、通貨をはじめとする資産の価値が異常な大変動を起こすようになっている。なぜなら、これら資産の価値は、部分的には金利水準と各国の金利差によって決まるものだからである。
株価は乱高下し、アメリカ国債についても、市場が崩壊しつつあるわけではないが、買い手が瞬時に見つからない場面が出るようになっている。そして、複雑な投資スキームが用いられている金融分野では、ボラティリティー(変動率)の高まりが危険な連鎖反応の引き金となるのではないか、といった懸念が浮上するようになった。
「市場には多くの懸念要素が存在し、今にも何かが壊れるような感じがすると誰もが口にするようになっている」と、FRBの元幹部で現在はパイパー・サンドラーのエコノミストを務めるロベルト・ペルリ氏は語る。同氏は10月中旬に行われた当局との情報交換には参加していないが、当局が状況確認を進めるのは理解できると述べた。
ジョー・バイデン大統領はここ数週間、主要経済顧問を繰り返し召集し、イギリスを大混乱に陥れたような市場の炎上について話し合っている。
FRBの幹部とスタッフは、通常の意見交換の場のほか、10月半ばにワシントンで行われた世界銀行と国際通貨基金(IMF)の年次総会の脇で、投資家や経済専門家と会合を持った。