アメリカが「日本の金融政策転換」を恐れるワケ 英「金融メルトダウン」で米国に広がる不安

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FRBの調査官らはこうした会合で、次の3つの大きな可能性について尋ねた。調査官らがまず知りたがったのは、アメリカにもイギリスの年金基金のように、著しい脅威の原因となりうるにもかかわらず、リスクが見過ごされているトレードや投資が存在するのかどうか、ということだった。

国外の問題がアメリカの金融システムに連鎖する可能性も焦点となった。例えば、日本はアメリカ国債の最大の買い手の1つだが、その日本の中央銀行は他国と違って低金利政策を続けているため、日本の通貨は急速に価値を失っている。

その結果、仮に日本が政策を翻し、アメリカ国債の購入をやめたり、さらにはアメリカ国債を売却する側に回ったりすれば、アメリカの債券市場にも悪い影響が広がるおそれがある。日本は政策を転換するつもりはないというシグナルを発しているものの、ウォールストリートには日本の政策転換をリスク要因と指摘する声もある。

アナリストたちが口にした「不安」

そして3つ目の論点は、アメリカ国債市場がこれから深刻な問題に直面し、正常な市場機能を回復させるためFRBが急きょ介入しなければならなくなる可能性があるのかどうか、というものだった。

いずれも今にも暴発する可能性のあるリスクとは思われないというのが、当局者に対するアナリストたちの返答だった。アメリカの年金システムはイギリスのものとは異なるし、国債市場は不安定化しているとはいえ、今もしっかりと機能している。

それでもアナリストらは、懸念すべき理由も口にした。どこで綻びが生じるかは、実際に綻びが生じるまでわからない、ということだ。市場は巨大で互いに分かちがたく結びついており、それを網羅的に把握するデータを入手するのは難しい。ここ何カ月かで世界中の中央銀行の政策がどれだけ変化したかを考えれば、何かがおかしくなる危険性は十分に考えられる。

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