アメリカが「日本の金融政策転換」を恐れるワケ 英「金融メルトダウン」で米国に広がる不安
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の調査官らは10月中旬、ウォールストリートをはじめとする世界の金融専門家に、ある喫緊の疑問をぶつけた。先日イギリスで起きたような市場のメルトダウンはアメリカでも起きうるのか、という疑問だ。
FRBとのこうした会話にそれぞれ別の機関から参加した4人が、非公式の会合だったことを理由に匿名で語ったところによると、上述の疑問に対して提示された答えとは、暴落が目前に迫っているとは思われないが、メルトダウンの可能性はある、というものだった。
バイデン政権も独自にメルトダウンの可能性を調査しており、同様のメッセージはほかの市場関係者からも発せられた。各国の中央銀行が急激に利上げを進める中、金融危機のリスクが高まってきている、というものだ。
イギリスの金融ショックは「炭鉱のカナリア」
イギリスでは、高インフレに苦しむ経済を刺激しようと政府が拡張的な財政政策を打ち出したが、財源の詳細がほとんど示されなかったことから市場が大揺れとなり、その動揺を鎮めるためイングランド銀行(中央銀行)が国債の買い支えに急きょ動かなければならなくなった。市場が大きく傾く中、年金基金で一般化している、ある投資戦略が引き金となり、破綻回避のための国債換金売りがさらなる換金売りを招く事態となったためだ。
確かに今回のショックはイギリス特有のものだが、金融市場の暴力的な反応を目の当たりにした各国の経済専門家は、これは世界規模で金融危機の兆候が浮上しつつあることを示す「炭鉱のカナリア」なのではないか、と考えるようになっている。