愛知の「激安うなぎ屋」特上鰻丼が2300円の秘密 「うなぎの与助」生の鰻を仕入れて店で串打ち

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外国産、と聞いただけで拒否反応を示す方も多いと思うが、国産うなぎの流通量が少なくなる冬場など時期によっては有名店も外国産を使うことがあるのはあまり知られていない。安心・安全で美味しければ何の問題もないと思うのだが。

うなぎは生きたままの状態で仕入れている(筆者撮影)

松井さんがわざわざ割きや串打ちについて触れたのは、激安のうなぎ屋の中にはあらかじめ焼いてある加工品を温め直して提供している店もあるからだ。筆者はそれがいけないとか、ネガティブな印象は持っていない。牛丼チェーンやファミレスのうなぎよりもはるかに美味しいし、筆者が食べ歩いた中には開店前から行列ができていた店もあった。

加工品を使用する店にとって最大のメリットは、温め直すだけなので職人が要らないという点である。うなぎの激安店が急増した背景に、加工品のレベルが上がったことがあるのは間違いないだろう。

うなぎ屋の「生産性の高さ」に驚愕

「うなぎの与助」の安さの秘密に迫る前に、松井さんの経歴にも触れておこう。松井さんは地元の大学を中退後、カフェのホールスタッフからはじまり、バリスタとしてドリンクを作ったり、居酒屋では接客のみならず調理も担当した。

転機が訪れたのは、2016年頃。当時、松井さんは建築会社の飲食事業部で働いていた。うなぎ屋の運営も手がけており、名古屋市郊外のテーマパークに隣接する商業施設への出店担当責任者に抜擢されたのだ。出店交渉の他、割きや串打ち、焼きなど現場での業務もひと通り覚えねばならず、本店で半年間ほど必死に練習したという。

「私は不器用なので、失敗するたびになぜそうなったのかを分析して改善していましたから、人に教えることができます」(松井さん)

たれは甘さと辛さのバランスのよいものを使用(筆者撮影)

現在、店で働くスタッフの大半は、料理の経験はあるものの、うなぎの調理は未経験者ばかりだったが、今ではマスターしているという。逆にいえば、割きと串打ち、焼き以外の技術は要らないわけで、煮たり、焼いたり、揚げたりとあらゆる調理技術を必要とする居酒屋のほうが大変なのかもしれない。

実際、コロナ禍で大きな打撃を受けた居酒屋がうなぎ屋に業態を替えるケースも多い。串カツや唐揚げを仕込んで数百円で売るよりもうなぎ丼を1杯何千円で出したほうが商売として効率がよいのだ。しかも、うなぎは生かしておけばよいのでロスも出ない。松井さんもそこに気がついた。

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