慢性炎症は「静かなる殺人者」、怖さの根本要因 医師が指摘!のどや歯ぐきが腫れていたら危ない
ところが、炎症の原因となる物質が除去できず、炎症がおさまらずに、いつまでもダラダラと続くことがあります。こういった長引く炎症のことを「慢性炎症」と言います。
本来は、体を守るために起こるのが炎症ですが、長引けば細胞の修復が追いつかず、体の機能が低下したり、失われたりしてしまいます。
たとえば、慢性炎症をともなう病気の1つが歯周病です。歯周病は口の中の歯周病菌が原因の感染症。歯周病菌が徐々に増殖して、歯ぐきにゆっくりと炎症が起きる病気です。初期の段階で炎症がおさまることもありますが、歯ぐきの炎症が続いて慢性化することも多く、その状態を放っておくと歯を支える骨にまで炎症が広がります。その結果、骨が溶けて、歯がグラグラになり、最悪の場合、歯を失うことになるのです。
慢性炎症は「静かなる殺人者」
慢性炎症によって起こる病気はさまざまにあります。
まさに「炎」のようにボッと勢いよく燃えて鎮火も早いのが急性炎症なら、慢性炎症はボヤ(小火)のようなもの。火種がくすぶったままじわじわと広がるように体をむしばみ、最後にはおそろしい病気を引き起こします。
慢性炎症による病気のこわいところは、急性炎症のように強い症状がないところです。
そのため、なんとなく調子が出ないなと感じることはあっても、ほとんどの場合、自分では気がつきません。
自覚症状がないまま同じ場所で炎症が続いてしまって、いつのまにか細胞が壊され、臓器や血管などの機能が低下してからはじめて病気になっていることに気づくのです。
先ほど例にあげた歯周病も、たまに出血したり、患部がうずいたりすることはありますが、初期には自覚症状がないことがほとんどです。歯周病が進行して、歯がグラグラになってから気づく人も少なくありません。
このほか、次に紹介する病気も慢性炎症が原因のもので、気づかないうちに進行して、命にかかわるような病気につながるリスクがあります。
そのため、慢性炎症は、「サイレントキラー」と呼ばれることもあります。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら