「スマホ認知症」30代にも忍び寄るあぶない実態 「人の名前が出てこない」「うっかりミスが増えた」

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記憶には「入力」→「整理・整頓」→「取り出し」という3つの過程があるのですが、脳過労になると「整理・整頓」が追いつかなくなります。新しい情報が入ってくるのに「整理・整頓」がされないと、大切な情報が埋もれてしまい、肝心なときに必要な情報をうまく取り出せなくなります。

そうなると、仕事や家事などのシーンで情報処理能力が著しく低下し、患者さんが訴えるようなど忘れやうっかりミスといった「スマホ認知症」の症状が増えるのです。

脳過労の人の脳内のイメージ(『スマホ脳の処方箋』より)

そして恐ろしいことに、若年期に「スマホ認知症」を放置しておくと、老年期に認知症になるリスクがとても大きくなるという事実があります。というのも、「スマホ認知症」はうつ病を合併しやすく、働き盛りにうつ病が2年以上持続すると、老年期にアルツハイマー型認知症になる危険が2倍になるデータがあるのです。

脳をメンテナンスすることが大切

スマホ脳の処方箋
『スマホ脳の処方箋』(あさ出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

しかし、ご心配なさらないでください。認知症は進行・悪化する一方で治らないという定義が一般的ですが、「スマホ認知症」は生活習慣の改善で治ります。アミロイドβが蓄積して脳が萎縮するわけではなく、脳過労によって記憶の「整理・整頓」に支障が出ているだけだからです。

「スマホ認知症」を治すには、ご自分の脳過労を自覚して、脳をメンテナンスすることが大切です。具体的には、「ぼんやりタイム」を取り入れて、リズム運動を行うことで認知機能が回復(前回記事で紹介)して、ど忘れやうっかりミスなどの症状が改善されます。スマホと正しく付き合いながら、健康的な生活を手に入れましょう。

奥村 歩 日本認知症学会専門医・指導医 おくむらメモリークリニック理事長

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おくむら あゆみ / Ayumi Okumura

1961年生まれ。長野県出身の医学博士。岐阜大学医学部卒業、同大学大学院医学博士課程修了。 アメリカ・ノースカロライナ神経科学センターに留学後、岐阜大学付属病院脳 神経外科病棟医長併任講師、木沢記念病院勤務を経て、2008年に「おくむらメモリークリニック」を開院。設置した「もの忘れ外来」には全国から多くの人が来院し、これまでに10万人以上の脳を診断。脳神経外科医として認知 症やうつ病に関する診察も多く経験し、日本脳神経外科学会(評議員)・日本認知症学会(専門医・指導医)・日本うつ病学会他の学会で活躍している。

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