早期ならほぼ治る大腸がん「検便」は超優秀の理由 精度高める採取のポイント、容器入れすぎ注意

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内閣府が2019年に実施したがん対策・たばこ対策に関する世論調査で、「2年より前にがん検診を受診した」「今までがん検診を受けたことはない」と答えた705人にその理由を複数回答で聞いたところ、「受ける時間がないから」が28.9%だった。そのあとは「健康状態に自信があり、必要性を感じないから」(25.0%)、「心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」(23.4%)、「費用がかかり経済的にも負担になるから」(11.8%)、「がんであると分かるのが怖いから」(9.2%)と続く。

がん検診を受けない理由

費用をかけずにできる検査法

群馬県高崎市の住民健診の検体検査を一手に引き受けている公益財団法人高崎・地域医療センター検査課の三浦宏弥氏(臨床検査技師)は、「便潜血検査は大腸がんを簡便、さらに大きな費用をかけずにスクリーニング(ふるい分け)できる有効な検査法」と話す。

では、仕事が忙しい働き世代が、大腸がん検診を医療機関などの施設にわざわざ行くことなく、自宅で便潜血検査の検体を採取して、郵送することはできないのか。

その答えは「難しい」。 郵便配達中に高温の状態に長期間放置されてしまうと、血液(ヘモグロビン)が変性して判定に影響が出てしまうからだ。

知っておきたい便潜血検査
・1980年代後半、免疫便潜血検査法(便ヘモグロビン法)を国内で開発
・ヒト以外の動物ヘモグロビンにはほとんど反応しない(猿類を除く)
・ときに容器からあふれんばかりの糞便が検体として届けられるが、説明書に記載されている程度の量を採便棒で採取を
・検体は採便棒で、糞便の表面を幅広くまんべんなくこすり取る
・2日法の1日目の検体採取後に、便秘などで採取できない場合でも、両日分が検査日含め7日以内になるのが望ましい
・採取後は室温(25℃以下を想定)で保管を
(協力:福山臨床検査センター 金光弘幸・エフエムエルラボラトリー東京所長)

大腸がん検診の精密検査の第一選択は、大腸内視鏡検査だ。内視鏡を肛門から直腸内に挿入し、盲腸に達したら空気を入れて腸を膨らませ、内視鏡を引き抜きながら腸内を観察。ポリープが見つかったら、内視鏡の先端に開いた小さな穴から器具を出し入れして切除して取り出す。

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