SNS上での声ではありませんが、お客様の声との向き合い方について考えさせてくれる、有名な事例があります。マクドナルドが2006年に発売した新メニュー「サラダマック」の事例です。発売の背景には、消費者の声がありました。消費者にアンケートをとったところ、「ヘルシーな商品がないからマクドナルドには行かない」といった声が挙がったのです。その結果を受けて登場したのが、「サラダマック」でした。
ですが、この新商品はほとんど売れず、ほどなくして販売終了となりました。得てして消費者は、本音と建前を使い分けます。アンケートの回答には綺麗な言葉を並べていたとしても、心の奥底ではまったく異なることを考えている場合があります。マクドナルドの事例でも、ヘルシーなメニューが欲しいという回答とは裏腹に、お客様の多くは心の奥底で「高カロリーで不健康なのは承知のうえで、ボリューミーなハンバーガーにかぶりつきたい」と考えていたわけです。
お客様の声と向き合う際は、このような「ウソ」や「建前」を見抜かなくてはなりません。データやお客様の声が、必ずしも真実を映し出しているとは限らないのです。この失敗から学んだマクドナルドは、その後、クォーターパウンダー、グランドビッグマック、ギガビッグマックといった、高カロリー路線の商品を発売し、ヒットを飛ばします。
「健康的でないのはわかっているけど、無性に食べたくなる」が、多くの人がマクドナルドに抱くイメージでした。お客様の声を鵜呑みにして、このイメージから逸れてしまったために、「サラダマック」は支持を得られなかったのです。
クレームも重要なコンテンツ
SNSで情報発信を行っていると、ダイレクトメッセージやリプライでクレームを受けることもあるでしょう。その場合、対応次第ではブランドの評価を下げてしまうこともあります。
まず大切なのは、迅速な対応です。あまり時間を置かずに、ダイレクトメッセージや、公開しても問題のない内容であればリプライなどで返信をしましょう。近年、ユーチューバーが炎上するようなできごとがしばしばありましたが、迅速な謝罪対応で早期に鎮火した事例もあります。
迅速に対応する姿勢を示せるか否かで、ブランドの信頼度や好感度への影響は大きく変わってきます。お客様の声に対して真摯に向き合う文化や風土を有している企業であることを示せると、クレームや指摘も、信頼度を上げられるコンテンツの1つになり得るのです。
またときには、こちら側に非がないにもかかわらず、誹謗中傷に近いようなネガティブなコメントやメッセージを受け取ることもあるかもしれません。その場合も、「根拠のない言いがかりだ」と無視したり、放置したりするのはいけません。
こちらが発信している内容と、消費者が認識している内容に何らかの齟齬(そご)が発生している可能性を考え、企業としての思いや意見をロジカルに説明することが重要です。
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