数百万円の着物が売れる「ブランディング」の正体 コロナ禍のリテラシー向上で「見る目」養われる

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近年、日本ではブランドやブランディングを意識する企業が増え始めました。その理由の1つが、広告規制の強化です(写真:designer491/PIXTA)
「ブランド」というと、グッチやシャネル、アップル、ベンツなど、誰もが知っている、高級でエレガントな商品のことだと思われるかもしれません。しかし、実はそうではなく、安価な商品やサービスも含めて、消費者に認識されている企業、商品、サービスそのものが「ブランド」といえるのです。
近年、日本ではブランドやブランディングを意識する企業が増え始めましたが、日本企業の多くはブランドを「言葉」で伝えるばかりです。
300社以上のEC・通販企業のブランディング、マーケティング、CRM(顧客関係管理) を一気通貫で支援してきた工藤一朗氏の『ブランド・プロデュース思考』から、言葉だけでなくデザインなどの見た目、お客様と接する声や表情など、五感で感じるすべてにおいて「プロミス」を実現していくブランディングを紹介します(3回にわたって紹介。今回は第1回)。

近年、日本ではブランドやブランディングを意識する企業が増え始めました。その理由の1つが、広告規制の強化です。企業が広告を出す際に注目する指標の1つにCPOというものがあります。これはコスト・パー・オーダー(Cost Per Order)の略で、1件の注文を獲得するのにかかった費用を指します。これをいかに下げるかが重要です。

これまで主流であった成果報酬型のアフィリエイト広告では、CPOをそこまで気にする必要がありませんでした。なぜなら広告主は、消費者が広告をクリックして注文が入ったぶんに応じて、広告を配信するアフィリエイターに報酬を払うためです。つまり、売上に応じて費用が発生するため、損をすることがないのです。

注目され始めたLTV指標

ところが、成果報酬を求めた一部の虚偽、誇大な広告によって、アフィリエイト広告は問題視され、規制が強化されるようになりました。薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)や景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)が改正されたことで、誤認されるような過度な効能や効果を表示・広告することができなくなりました。

この規制強化によって、広告の大量出稿により認知を増やす戦略がとりにくくなったことで企業が新たに重視するようになったのが、LTVという指標です。これはライフ・タイム・バリュー(Life Time Value)の略で、日本語に訳すと「顧客生涯価値」、ある顧客から生涯にわたって得られる利益を指します。

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