海面上昇で「沈む島嶼国」リーダー必死の叫び 小国バルバドス宰相の世界銀行・IMF改革案

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10月10日に始まった世銀・IMF年次総会に先立つ9月23日、モトリー氏は「世界金融の構造改革のための2022年ブリッジタウン・アジェンダ(The 2022 Bridgetown Agenda for the Reform of the Global Financial Architecture)」を公表し、前例のない複合的危機に対し、断固とした行動を求めた。

モトリー氏のいう前例のない3つの複合的危機とは「ウクライナ戦争とCOVID-19の流行に起因する生活危機」「COVID-19パンデミックと気候関連災害に伴う途上国債務危機」「温暖化によって氷河が溶け、嵐や干ばつが激化することへの危機」である。

新金融システムへ3つの提言

そのうえでモトリー氏は、気候変動対策と持続可能な開発目標(SDGs)を実現するための財源確保に向け、新しい金融システム構築へ向けた3つの提言を行った。

① 緊急流動性の提供

IMFが、債務危機を食い止めるために無条件の迅速な信用供与と融資制度へのアクセスを確保し、利子割増を一時停止し、未使用の特別引出権(SDR)のうち少なくとも1,000億ドルを必要な国々に再分配する。

② 政府向け融資を1兆ドル拡大

世界銀行と国際開発金融機関(MDBs)が、政府向け融資を1兆ドル拡大。新たな譲許的融資はSDGs達成や、気候変動に対する回復力向上に資するものを優先。

③ SDRの新規発行など

IMFが新たに6,500億ドル相当のSDRを新規発行。気候変動に起因する災害はIMFへの出資比率に応じて影響が及ぶわけではないため、SDRを出資割合に応じて配分する現行の仕組みを改め、真にSDRを必要とする途上国、脆弱国に、より多く配分する。

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