圧倒的に数字に強い人がやっている「頭の体操」 日々の「小さな習慣」が大きな差につながる

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もう少しビジネス寄りの事例で考えてみます。C社とD社のどちらに営業を掛けるかというケースを考えてみましょう。C社はこれまでのコミュニケーションなどから、営業の成功の確度は50%と見込まれます。受注額は1000万円前後と推察されます。

それに対してD社は、2つのパターンが考えられます。1つは、小型受注の可能性で、こちらは60%は可能性がありそうです。受注金額は300万円です。もう1つは大型受注で、可能性は5%、受注金額は3000万円です。さて、どちらの見込顧客を優先させるべきでしょうか。

このケースは比較的計算は楽で、C社の期待値は1000万円×50%=500万円となります。それに対してD社は300万円×60%+3000万円×5%=330万円となります。単純な計算からは、C社の方が優先されます。

確率や期待値の感度を高める頭の体操②

ただし、翌年以降の可能性などを加味するとまた話は変わります。ビジネスではこうしたことが多いものです。

たとえばD社で仮に今年小型受注しかできなくても、その顧客満足度が高ければ翌年は大型受注につながる可能性が20%あるとしたらどうでしょうか。C社は概ね予算は決まっており、来年も状況は同じとします。

この場合、2年間分の期待値は、C社は単純に1年分の2倍で600万円です。それに対してD社は、300万円×60%+3000万円×5%+3000万円×20%=930万円となります。

つまり今年の受注金額の期待値は低くとも、しっかり満足してもらえれば、長い目で見るとむしろD社の方がいいということです。

実際にはここまで正確に確率を求めるのは難しいかもしれません。それでも、顧客の置かれた経営環境の調査や顧客とのやり取りなどを通じたラフな前提をもとに、どちらの方がより魅力的かを期待値の考え方で試算することには大きな意味があるのです。

「なんとなく良さそう」で判断するのではなく、その判断に説得力を持たせるべく、常日頃からちょっとした頭の体操をしてビジネス数学力を高めておきたいものです。

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