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世界の「経済政策バブル」が弾けようとしている 「八方美人」という方針をとり続ける日本の末路

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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さらに、コロナショックにより、単純労働者が決定的に不足した。そして、新型コロナウイルスからの回復後も、かつての労働者たちは単純労働の市場には完全には元に戻らなかった。

求人数は急増し、賃金が上昇したが、それでも集まらないようになった。「エッセンシャルワーカー」などと呼んで、今さら形だけの敬意を表しても、誰もその職には就こうとしなくなった。これこそ必需品不足である。

マネジャーが増え、コンサルタントが増え、ぜいたく品を企画し、生産し、儲けようとする人々だけでは社会が成り立たないことに、ようやく人々は気づき始めた。そして、それは賃金上昇、必需品価格の上昇、インフレーションということで、社会全体のすべての人に直接影響するようになり、社会はパニック状態に陥った。

社会は「価値保蔵手段」という必需品を失った

ESG(環境・社会・ガナバンス)とかSDGs(持続可能な開発目標)などといった名ばかりのきれい事は、富裕層のナルシズムと自己満足にすぎない、ぜいたく品であったことが明らかになった。今さら脱炭素一辺倒ではダメだと言い出しても、原油・天然ガスなどの必需品エネルギー価格は高騰・高止まりして、容易には元には戻らなくなった。

そして、政府は票を得るために、有識者は社会にとってよいことをしたという自己満足というぜいたく品を得るために、何が何でもインフレを止める、という行動に出た。

この結果、世界中で金利は上昇し、最大のぜいたく品である(麻薬かもしれない)“余剰資金をさらに増殖させようとする「資産運用」という営み”は、資産バブル崩壊により、悲惨な状況に陥った。

インフレによって、老後や不遇に備えるための価値保蔵という機能が、現金(とくにアメリカのドル以外の通貨)や国債という安全資産からも失われた。もちろん株式からも失われ、これらの資産の代替と喧伝されていた暗号資産も暴落し、社会はあらゆる「価値保蔵手段」という必需品を失った。

こうして、社会はパニック状態になり、どうしていいかわからない状態となった。

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【英国と日本の愚策】

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