この問題を議論する際、まず注目すべきは、致死率が低いことだ。図1は、コロナ流行以降の致死率の推移を示している。イギリス・オックスフォード大学が運営するデータベース「アワ・ワールド・イン・データ」を用いて、筆者が作成したものだ。今年1月にオミクロン株の流行が始まって以降、致死率は0.1%程度に急低下していることがわかる。
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1000人に1人の感染者が亡くなるということは重大な事実だが、風邪であろうとコロナであろうと、一部の感染者が亡くなることは避けられない。心肺機能が低下した高齢者が感染した場合、ギリギリで維持している体調を崩し、不幸な転帰をとることがあるからだ。
では、オミクロン株は、どの程度、危険なのか。季節性インフルエンザと比較するとわかりやすい。厚労省によれば、季節性インフルエンザの致死率は60歳未満で0.01%、60歳以上で0.55%だ。オミクロン株と大差はない。
保健所と急性期病院が対応の中核に
オミクロン株の致死率が、インフルエンザと変わらないのなら、「2類」として扱うことは弊害が多い。それは、保健所と急性期病院が対応の中核となり、それ以外の医療・介護関係者が蚊帳の外に置かれるからだ。
このような医療機関が、今夏の第7波で果たした役割は限定的だった。厚生労働省が発表しているデータを基に、各病院の8月3日現在の患者受け入れ数を表1に示す。
即応病床に占める入院患者数の割合は、慶應義塾大学126%、順天堂大学125%、日本大学123%のように100%を超えるところもあるが、我々が調査した26病院中19病院は、第7波真っ只中の8月3日でも空床を抱えていた。兵庫医科大学の稼動率は36%、国立国際医療研究センターの稼動率は42%にすぎない。
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