猪木氏には以前、インタビューさせていただいたこともあるが、実際に会うと正直、話が縦横無尽に動くので、何を言っているのか意味不明に感じることも時にあった。
政府の反対にもかかわらず北朝鮮に何度も行かれていることの真意を聞いても、エネルギーの話やイラク訪問の話などに話が脱線したものである。
プロレスの試合でも「予定調和」を嫌い、「先が読めない展開」で大衆を惹きつけ、時に欺いてこられたが、インタビューでも「予定通りの話」にまったくならない方であった。
聞きたいところを深掘りしようにも、トピックがコロコロ変わるのみならず、話が結構長く続くので、話題をこちらがコントロールできないのだ。
これは、長年のプロレスファンであれば、ホーガン戦で舌出し失神負け(新日本プロレス経営陣を含めた皆が、猪木がホーガンを破ると思っていた)を演じたことに相通ずるかもしれないが、「相手の期待通りに行動する」のを嫌がる人物であった。
世界的に見ても「型破りな人物」だった
それにしても、日本ほど「予定調和」や「常識」が重視される社会において、これほど「世界的に見ても型破りな人物」が出てきたのは奇跡的である。
格闘家としては、あのモハメド・アリが現役のヘビー級世界チャンピオンの時にリングでの対決を実現させているが、これはその45年以上あとに開催された、元世界王者のメイウェザーと路上の伝説・朝倉選手のエキシビジョンとは比べものにならないほど、世界的な注目を集めた。
”机上の伝説”ムーギー・キム(机上の空論を振りかざし、10年も空虚なコラムを書いている)としては、プロレスのみならず、異種格闘技戦や総合格闘技産業の源流は、アントニオ猪木氏であったと確信している。
まさに「型破り力」
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