国葬で求心力低下、揺らぐ岸田政権にさらなる難題 3日からの臨時国会も課題山積、野党は共闘

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そもそもこの国葬は、安倍氏の銃撃から6日後の7月14日に岸田首相が突然、表明した。麻生太郎・自民党副総裁や最大派閥・安倍派に配慮しての判断だった。国権の最高機関である国会の意向も聞かず、与野党の党首会談も開かなかった。行政府のトップである岸田首相の判断だけで決まった国葬だった。野党側だけでなく、憲法学者からも異論が噴出した。

仮に岸田首相が熟慮し、国会の意見を聴き、多くの歴代首相と同じように内閣・自民党合同葬としていれば、今回のような混乱は起きなかったことは間違いない。

法的根拠に欠ける、予算も膨らむといった批判に、世論も反応した。NHKの7、8、9月の世論調査をみると、国葬を評価するのが49%、36%、32%と減ったのに対して、評価しないのは38%、50%、57%と増え続けた。各種調査の岸田内閣の支持率も急落し、不支持を下回ってきた。岸田首相にとっては大誤算だった。

旧統一教会問題をめぐる対応のまずさ

支持率低下の要因は、国葬問題に加え、旧統一教会問題をめぐる岸田首相の対応のまずさだった。

自民党の衆参国会議員の調査は実施したが、結果発表後も、首相側近の木原誠二・官房副長官を含め、新たな接点が次々と明らかになった。安倍氏は参院選比例区の候補者選びで旧統一教会との窓口になっていたという証言が相次ぐなど、旧統一教会と自民党との関係で中心的な役割を担っていたという見方が強まっている。にもかかわらず、岸田首相は安倍氏が担った役割を調べるかどうかについて否定的な姿勢を示した。

多額の献金などに苦しむ元信者の悲惨な様子が連日、テレビや新聞で報じられる中、岸田首相の後ろ向きの対応は批判にさらされた。支持率の低下は止まりそうにない。

臨時国会で野党側は国葬決定の経緯と旧統一教会の問題を徹底追及する構えだ。中でも細田博之・衆院議長は旧統一教会の関連団体の会合にたびたび出席。安倍政権時代にはあいさつの中で「盛会の様子は安倍総理に伝えます」などと述べている様子が映像に残されている。

細田氏は9月29日、会合出席になどについて説明する1枚の文書を公表したが、記者会見に応じないなど説明は不十分だ。山際大志郎・経済再生相は旧統一教会の関連団体が海外で開いた大規模な集会に参加。国内の集会にも出席していたが、自民党の調査には届けていなかった。

野党側は衆参両院の予算委員会などで山際氏を追及する。山際氏が明確な答弁ができず、審議が中断するようだと、進退問題に直結するだろう。

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