国葬で求心力低下、揺らぐ岸田政権にさらなる難題 3日からの臨時国会も課題山積、野党は共闘
防衛費の増額をめぐっては、ウクライナ危機を受けてドイツなど欧州各国が国防予算の増額に踏み切ったことを受け、日本も増額すべきだという声が高まった。安倍氏は生前、現在5兆円余の防衛費を7兆円近くに引き上げるべきだと具体的な金額を示して主張していた。
岸田首相も今年5月のバイデン米大統領との首脳会談で防衛費の大幅増額を約束。来年度予算編成の中で具体的な金額の積み上げが検討されてきた。
ただ、「専守防衛」という原則の中では爆撃機や空母などの攻撃的兵器を配備することはできないため、大幅増額は簡単ではない。毎年数千億円の増額をする場合、財源の確保も難題だ。赤字国債を充てるのは野党から無責任との批判を受けるし、防衛費増額のための増税は国民の理解が得られる状況にはない。
野党は国会での共闘路線に舵
安倍元首相の国葬で大きくつまずき、旧統一教会問題で信頼回復ができず、物価高対策などの政策課題で妙案が打ち出せない。岸田首相は八方ふさがりのまま国会審議に臨むことになる。
野党の立憲民主党と日本維新の会はこれまで対立してきたが、国会での共闘路線に舵を切った。来年4月の統一地方選に向けて、野党側は岸田政権批判を強めるだろう。選挙を控える自民党の地方議員から「岸田首相の下では選挙が戦えない」という声が高まる。自民党の国会議員が動揺し、「岸田おろし」につながるだろう。
安倍氏の銃撃事件から国葬、旧統一教会問題の展開と進んできた政局は、今の日本が抱える政策課題の議論に進み、岸田首相と自民党の統治能力を問う事態になっていく。日本政治が新たな局面に移る可能性を秘めている。
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