コロナ禍で利用者増「ゴルフ練習場の進化」が凄い 球の弾道をモニターで確認できる最新システム

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アウトドア練習場が減少する理由は、個人経営や同族経営の場合は相続問題が大きく、企業が経営している場合は、売却や別の事業転換などであるが、経営努力をしているゴルフ練習場ももちろんある。新しい顧客や既存の顧客に練習場を楽しんでもらう、来場回数を増やす、練習効果があがるよう、新規の設備投資をしているアウトドア練習場が増えてきている。

その一つが狭いゴルフ練習場でもボールの弾道を追尾でき、300ヤード先の球の飛距離や落ち際の曲がりがわかるボールの弾道を計測し、シミュレーションできるシステムだ。

データが一目でわかる「トップトレーサー」

世の中にはいくつかのシステムがあるが、その一つはプロが打ったボールの弾道軌跡を画面上に映し出し、ボールの高さや曲がりが一目でわかるシステム「トップトレーサー」だ。カメラで弾道を計測するこのテレビ中継技術は北欧のスウェーデンで開発された。これをゴルフ練習場に取り入れたシステムがその名の通り「トップトレーサー・レンジ」である。10年前の2012年からグローバルに展開されはじめた。自分の打った球の弾道を、打席の横のモニターに表示するほか、ゴルフクラブ番手ごとの平均飛距離表示、ニアピン、ドラコン、ポイントゲームなどのゲームも楽しめる。

自分のデータが一目でわかる「トップトレーサー・レンジ」の画面(写真:ロイヤルグリーン)

また、欧米を中心に約500施設1万5000打席に導入されている、実際にあるゴルフコースをプレーするバーチャルゴルフのモードもある。日本では2019年からゴルフダイジェストオンライン(GDO)が事業展開、現在60施設以上、5000打席以上に導入されている。

練習場経営者にとって、気になるのは導入費用である。トレーシング用カメラ、各打席のタッチ式スクリーン、専用サーバー、ソフト、専用アプリなどはGDOから提供されるため、設備導入に関して練習場側の負担は0だが、ランニングコストは練習場が負担しなければならない。基本的には、月額固定料金と利用に応じた従量料金の総額がランニングコストとなる(金額は、契約打席数などにより異なる)。

・100打席の練習場の場合
固定料金:1打席当り月額5000円~1万円
従量料金:1セッション(お客様の1回の利用)に対し、~150円

茨城県のゴルフ練習場「ロイヤルグリーン」礒﨑博文代表はトップトレーサー導入により「茨城県で初めての導入で、商圏が15kmから30kmに広がりました。また、一見でなく何回も来場されるお客様も増えてきました。

さらに来場のお客様も今まで60代が45%だったのですが、20代、30代の若い世代の来場者が増え、60代は減ってはいないのですが、割合が20%台になりました。全体でも15%導入前に比べて来場者が増えました。また、新たに大人数で楽しめるグループシートを10打席設置し、シミュレーションゴルフを楽しむなど新規ユーザーが増え、売り上げも伸びています」と話す。

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