キリン「長い足の半分は足の裏だった」驚きの事実 真ん中にある関節は「ひざ」ではなく「かかと」

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これに対し、キリンの太腿は、体の大きさのわりにはずいぶん短い。身長5メートルにも達する巨大な体をもつにもかかわらず、彼らの大腿骨の長さは、身長170センチのヒトの大腿骨よりもほんのわずかに長い程度だ。

これは前足でも同様で、手首の位置は前足の真ん中ほどにあり、前足の約半分は「手のひら」で占められている。二の腕部分にある上腕骨という腕の骨は、巨大な体には似つかわしくない短さだ。

このような特徴は、なにもキリンだけに見られるわけではない。ウマやウシなど、ひづめをもつ動物たちは、みな同様の特徴をもつ。哺乳類だけでなく、ダチョウやフラミンゴなど足の長い鳥たちも同じで、太腿が短く、足の裏がとても長い。いったいなぜ、彼らはこうした特徴をもつようになったのだろうか。

キリンの足のかたちはすばやく足を振るのに有利

太腿は、その名のとおり、足のなかでも格段に太い部分だ。太腿のまわりには、膝を曲げ伸ばしする筋肉や、股関節を動かす立派な筋肉などが発達する。これらの大きな筋肉は、足を力強く動かす“エンジン”として機能する一方で、動きを邪魔する“重石”にもなる。つまり、太腿が長いほど、足全体が重くなり、すばやく足を動かすのが大変になってしまうのだ。

キリンやダチョウの足は、立派な筋肉がついている太腿が短く、筋肉が少なくて軽い「足の裏」部分が長くなっているため、すばやく足を振るのに有利なかたちをしている。足を一本の棒と考えると、先端が重くなっている棒よりも、先端が軽い棒のほうが、より小さな力でよりすばやく動かすことができるというわけだ。彼らのユニークな体形は、走行に適した進化を遂げた結果といえる。

走行への適応は、ほかにもある。例えば、指の本数だ。

私たちの手足には、よく動く5本の指が生えている。これに対し、キリンの足先を眺めてみると、ふたつに割れたひづめが存在している。ひづめは爪が変化してできたもので、ひとつのひづめが1本の指に相当する。つまり、キリンの指はたった2本しかないのだ。ヒトの手で表現すると、中指と薬指だけが生えている状態である。

こうした「2本のひづめ」をもつ哺乳類をまとめて、偶蹄類と呼ぶ。

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