「シルク・ドゥ・ソレイユ」を経て起業した彼女の今 五十川舞香さんが説く、Web3だから実現できる事

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——実際にはユーザーが生きているにもかかわらず、不当に資産を「相続」されるようなトラブルは起こらないのでしょうか?

そのような不正アクセスを防ぐため、私たちはブロックチェーン上でのユーザーの活動をモニター(観測)するシステムを構築しました。 

ユーザーがブロックチェーン上で何らかの活動(主に売買など)をしている限り、相続人が資産にアクセスすることはできません。

その一方で、ユーザーが12カ月間まったく活動しなくなると「死亡の可能性あり」と判定され(レッドフラグが立ち)、相続のプロセスが進みます。

——具体的には?

Webacyが12カ月間の休止期間を検知すると、まず2カ月の猶予期間が設けられます。

もしもユーザーが生きており、何らかの事情でウォレットにアクセスしていなかっただけの場合は、この期間にWebacyにアクセスすれば再びもとの状態に戻ります。

もしも本当に死亡していた場合は、2カ月の猶予期間後、正式に「deadman’s switch(ユーザー死亡後に動くシステム)」が作動し、相続人が資産にアクセスできるようになります。 

——ただ、世の中には邪悪なことを考える人もいるのでは、などと心配になってしまいますが……。

それはWebacy、ひいてはWeb3に限らない問題だと思います。

Webacyは非常に高いセキュリティーと安全性の高いシステムを備えていますが、人間が使うものである以上、システムの設計ですべてのトラブルを防げるとは考えていません。

相続人との信頼関係もまた、強力なセキュリティーには欠かせない要素なのです。

道に迷ったら「与えるインパクトの大きさ」で決断

——「好奇心が無限大に広がっている」五十川さんは、目の前にいくつかキャリアの選択肢があるとき、どのような軸で進む道を選びますか。

私はいつも、「今の自分がもっとも大きなインパクトを与えるには、どのような場所に身を置くべきか」を軸に道を選んでいます。

シルクに入団した時も、Microsoftに入社した時も、Webacyを立ち上げた時もそうでした。「こっちのほうが、世界に大きなインパクトを残せる」と感じる道を選ぶことで、自然と高いパフォーマンスにもつながりました。

なおかつ、「もしも選択が間違っていても、It’s okay(大丈夫)。いつだって進路変更すれば良い」とも考えています。

次ページシルクでの経験もしっかりとWebacyに生きている
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