ウクライナ戦巡るプーチン「意味深発言」の意図 中露首脳会談後の記者会見から読み解く

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習近平主席は、「中露関係の発展の壮大な計画」について議論しようと言い、大きな変化の時代に、ロシアとともに責任ある大国の模範を見せようと述べている。両国がアメリカとその同盟国に対する戦略的パートナーであることは変わらないとの立場が示されたと言っていいだろう。

「特別軍事作戦」に他国の助けはいらない

しかしながら、プーチン大統領は翌日の記者会見で、習近平主席との会談について、「会談の結果には最重要事項などはなかった、これは通常の定例の会談だった」と述べている。そして、会談の主な内容は貿易額の伸びを確認したことだとした。もちろん、「ウクライナ危機に関する質問もあり、好意的な態度だったが、あくまでも主要なテーマではなかった」ということである。

プーチン大統領は一体何が言いたかったのだろうか。それは、ウクライナにおける「特別軍事作戦」は、他国の助けがなくともロシア一国で遂行できる作戦だ、ということだ。

もちろんアメリカ一極支配に対しては中国やその他の「仲間」とともに対抗していく。上海協力機構の共同宣言においても多極的世界秩序の形成を掲げている。しかしながら、「作戦」そのものの成否において、ロシアが他国の助けを借りなければならない状態にはないということ、これが、プーチン大統領が最も伝えたかったことである。

もう1つ注意しなければならない点がある。それは、中国はロシアのウクライナ侵攻について必ずしも立場を同じくしていないということである。

戦略的な目的から中国はロシアの立場に理解を示してはいるが、ウクライナに侵攻し、ウクライナの領土一体性を侵害していることは、「1つの中国」という台湾に対する中国の立場と合致しないからだ。

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