バスタ新宿は1日最大1600便あまりの高速バスが発着する、わが国最大級の高速バスターミナルとして大きな存在感を放っている。
これまで、テレビ局が東京への観光客、あるいは東京から地方へ向かう帰省客などのインタビューを取る際には、JR東京駅か羽田空港が定番となっていたが、開業以降はバスタ新宿もそうした「東京の玄関」の1つとなり、メディアへの露出が増えて、高速バスそのものの知名度も上がった。
これまで東京では、次々と高速バスが発着するような光景がなかっただけに、バスタ新宿の広いバースにバスが発着する様子や、バスタに入構する高速バスが甲州街道に連なる様子は、普段高速バスに縁がない人にとっても、高速バスの存在を印象付ける効果があったといえよう。
大型バスターミナルの嚆矢は「名鉄バスセンター」
東京では近年になって、急速に整備されているように感じる大規模バスターミナルだが、実は名古屋市には以前からあり、愛知県出身の私が小学生のころにはすでに見慣れた光景であった。
というのも、1967年(昭和42年)に、JR名古屋駅に隣接する名古屋鉄道(名鉄)名古屋駅と一体となったビル(現在の名鉄百貨店メンズ館、当時は名鉄メルサという商業ビルが主テナントとして入るビル)に、「名鉄バスセンター」が開業したからである。
ビルの3~4階のほぼすべてがバスターミナルとなっており、24の発着バースを備えた、今見ても巨大な施設だ。開業間もない当時、筆者はこのバスセンターに隣接する診療所に週1回通っており、バスセンターに発着するバスを眺めるのが何より楽しみだった。
当時はまだ、今ほど高速道路網が発達していなかったため、乗り入れていたのは名鉄バスの郊外路線が多かったが、1965年に名神高速道路、1969年に東名高速道路がそれぞれ全通し、1975年には中央道の名古屋側(小牧JCT)から長野県伊那地方の駒ヶ根ICまでが開通するなど、高速バス網が広がる下地ができつつあった。
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